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便秘と肥満は関係ある?ぽっこりおなかを解消する生活習慣の改善法

この記事でわかること
  1. 「肥満」と医学的に診断される「肥満症」の違い
  2. 肥満に伴いやすい健康上のリスクと合併症
  3. 便秘と肥満の悪循環を断ち切る生活習慣の整え方

「便が数日間出ないから太っちゃったかも…」と思うことはありませんか?医学的には「便秘=肥満」ではありませんが、便秘とぽっこりおなかには、運動不足や食物繊維の不足といった「共通の悪い生活習慣」が隠れていることがよくあります。この記事では、この記事では、腸内環境の悪化が体に与える悪影響や、便秘と肥満の両方を招く原因、そしておなか周りをスッキリさせるための具体的な生活習慣の改善法をわかりやすく解説します。

「便秘だから肥満」は誤り

「便が数日間出ていないから、その分だけ太っている」と考えがちですが、医学的には「便秘=肥満」というわけではありません。肥満とは、脂肪組織に脂肪が過剰に蓄積した結果、BMIが25kg/m2以上を示す状態を指します。便が腸内に滞留している状態は、体脂肪が蓄積した「肥満」とは本質的に異なります。そのため、排便があれば肥満が解消されるという単純な仕組みではありません。 

便秘は太りやすい体を作る原因の1つ

便秘そのものが直接的に代謝を落とすわけではありませんが、便秘になるような生活習慣(運動不足や偏った食生活)は、太りやすい体を作る大きな原因となります。

また、便秘が続いて腸内環境が悪化すると、アンモニアなどの有害物質が発生して肌荒れを招いたり、病原体から体を守る「腸管免疫」の機能が低下して病気にかかりやすくなるなど、全身に悪影響を及ぼすことがわかっています。便秘と肥満が結びつきやすくなる背景には、主に以下の3つの要因が深く関係していると考えられています。

便秘と肥満が結びつきやすくなる3つの要因、皮下脂肪の蓄積、胃腸の働き悪化、基礎代謝の低下
Geminiで生成した画像を元に作成

基礎代謝が落ちて痩せにくい体になるとともに、内蔵脂肪や皮下脂肪の蓄積が増える

1日の総エネルギー消費量のうち、約60%を占める「基礎代謝量」は主に筋肉量などの「体格」に依存します。運動不足によって筋肉が衰えると、消費エネルギーが減少し、痩せにくい体になってしまいます。従って、便秘を引き起こす大きな原因の一つである「運動不足」は、結果として内臓脂肪や皮下脂肪の蓄積を増やしてしまいます。身体活動量が減ると消費エネルギーが少なくなり、使われなかったエネルギーが脂肪として蓄積されやすくなるためです。さらに、腸の蠕動(ぜんどう)運動を支える腹筋や横隔膜の筋力が低下することは、高齢者などにおいても便秘になりやすくなる大きな要因です。つまり、痩せにくい体を作る原因(運動不足による筋力低下)が、同時に便秘も引き起こしているのです。

 肥満の人は歩行などを含めた立位での活動時間が平均で1日約150分も少ないことが報告されており、家事などの日常的な活動(非運動性身体活動)の少なさが肥満に繋がることがわかっています。

胃腸の働きが悪化し摂取カロリーが増える

腸内に生息する数兆個もの細菌のバランスが、個人の健康状態に大きく関与していることが明らかになってきました。腸内環境が整い、多様な細菌がバランスよく存在していれば、小腸で食べたものから栄養素や水分をしっかり吸収する働きが期待できます。

しかし、便秘によって腸内に便が滞り、細菌のバランスが乱れると、有害物質が発生して肌荒れを招いたり、病気にかかりやすい状態を招く一因になると考えられています。

胃腸の働きを整え、便秘を防ぐために欠かせないのが「食物繊維」です。食物繊維は腸内細菌の中の善玉菌の栄養源となり、腸内環境を改善してくれます。しかし、食物繊維が不足した食生活は腸内環境を悪化させるだけでなく、2型糖尿病などの生活習慣病のリスクを高めることが指摘されています。

現在の日本人は食物繊維の摂取量が不足しており、食物繊維の少ない食事に偏ることは肥満の一因にもなります。日々の主食を精白米から麦ごはんや全粒小麦パンに変えるなどして、効率的に食物繊維を摂取することが推奨されます。

肥満の人は便秘になりやすい?

肥満と便秘には、「運動不足」と「食物繊維の不足」という共通の原因があるため、肥満傾向にある人は結果として便秘にもなりやすいといえます。

 これらを同時に解消してぽっこりおなかをスッキリさせるためには、食事と運動の改善が欠かせません。ウォーキングなどの適度な有酸素運動は、エネルギーを消費して内臓脂肪の燃焼を促すだけでなく、体の振動や筋肉の働きによって腸内の便の動きを物理的にサポートしてくれます。さらに、十分な睡眠をとることや、朝食を食べて理想的な排便タイムを作るなど、規則正しい生活リズムを身につけることが大切です。

便秘解消のためにできる生活習慣改善

有酸素運動の習慣化、筋トレで代謝UP、食事バランスを整える、肥満症なら医療機関へ
Geminiで生成した画像を元に作成

頑固な便秘を解消し、ぽっこりとおなかが出た体型を改善するためには、毎日の些細な習慣を丁寧に見直すことが第一歩となります。極端な絶食や無理なダイエットではなく、腸を内側からいたわり、腸そのものを整える生活習慣のアプローチを意識することが重要です。

便秘を解消するための食事や生活リズムの調整、そして運動不足の改善は、基礎代謝を高めて余分な脂肪を減らすアプローチと深く結びついています。つまり、便秘改善対策に取り組むことは、ほぼそのまま肥満対策(ぽっこりおなかの改善)にもつながり、スッキリとしたウエストラインを実現する近道となります。以下の方法を組み合わせ、無理のない範囲で健康的な体型改善と便秘解消を目指しましょう。

食物繊維を取り、食事バランスを整える

食物繊維は、水に溶けないセルロース(野菜や果物など)や、水に溶けるペクチン(野菜や果物など)、アルギン酸(海藻類など)など多くの種類があります。水に溶けない食物繊維は、便の体積を増やす材料となりますので、便秘改善に有効ですし、さらに咀嚼時間が増えたり、胃の中で滞留しやすいことで、満腹中枢を刺激しますので、食事摂取を減らす効果(肥満予防・改善)が期待できます。水に溶ける食物繊維は、腸内細菌によって発酵され、酪酸などの短鎖脂肪酸ができることで、GLP-1などの食欲を抑えるホルモンを増やす効果が期待されます。毎日の主食を麦ごはんや全粒小麦パン、そばなどに変えることで、効率的に食物繊維を補うことができます。また、これらの食品は腸内の善玉菌に利用されやすい「プレバイオティクス」としてはたらき、腸内環境を整えてくれます。 まずは1日あたりプラス3〜4gを目安に、デスクワーク中の間食をバナナやみかんなどの食べやすい果物に置き換えるなど、無理のない範囲で少しずつ増やしていくことが推奨されています。

また、食事においては単に摂取カロリーを制限するだけでなく、タンパク質、脂質、炭水化物といったエネルギー産生栄養素のバランスを考慮した食事を心がけることが大切です。毎日の食事で、野菜などの具だくさんみそ汁にしたり、夜遅い時間の食事や、過剰なアルコール、甘い飲料の摂取を控えることも、新たな脂肪蓄積を防ぐために欠かせないポイントです。野菜から先に食べる「ベジタブルファースト」を意識することで、血糖値の急上昇を抑え、インスリンによる脂肪蓄積を緩和する効果も期待できます。

3食きちんと食べる

腸そのものを整えるためには、規則正しい生活を心がけることが推奨されます。特に朝食は、理想的な排便タイムの訪れを促すために、極めて重要な役割を担っています。 忙しい朝でも、朝食を抜かずに何らかの食べ物を胃に入れる習慣をつけることで腸を整えましょう。

あわせて乳酸菌を摂取することも腸内の環境を改善することにつながります。これにより、日々の腸の活動が整い、自然な便意を感じやすくなります。

こまめに水分補給をする

健康のバロメーターである便の成分は、実はその80%が水分です。体内の水分が不足したり、便秘になったりすると、便に含まれる水分の割合は70%前後に減って硬くなり、大腸に滞りやすくなってしまいます。便に適度な水分を含ませて柔らかく保ち、小さなコロコロ状の硬いかたまり状の便を防ぐためには、日々の水分を失わないようにすることが必要です。

極端に食事の量を減らすような無理なダイエットは避け、食物繊維の摂取と合わせて無理のない範囲で腸の健康を維持していくことがポイントです。

運動不足を改善する

運動不足の解消は、腸の働きを物理的に活性化させると同時に、効率よく全身の基礎代謝を底上げして脂肪燃焼を促すため、便秘と肥満の双方を同時に解決する不可欠なアプローチです。

脂肪燃焼を促す有酸素運動を習慣化する:内臓脂肪や皮下脂肪を効果的に減らすためには、ウォーキングやジョギング、水泳などの有酸素運動を継続して行うことが有効です。身体活動中にエネルギー源として使われる糖と脂肪の割合は強度によって変化し、強度が低いと脂肪を使う割合が増え、強度が高いと糖を使う割合が増える仕組みになっています。ウォーキングなどの有酸素運動や家事で体を動かすと、体の振動や筋肉の働きが腸内の便の動きを物理的にサポートし、排便をスムーズにしてくれます。デスクワーク中心の方は、普段から通勤や買い物、散歩時に積極的に歩くなど、日常生活の中で活動量を増やす工夫を取り入れるのが現実的です。今よりも「プラス10分」多く身体を動かす意識を高めることから始め、歩行と同等以上の身体活動を毎日60分以上、息が弾み汗をかく程度の運動を週に60分以上行うことが理想的です。

筋トレで基礎代謝を上げる:筋肉量を増やすことは、何もしなくても消費されるエネルギー量である「基礎代謝量」を底上げし、肥満や糖尿病などの生活習慣病を防ぐことにつながります。また、腸の蠕動(ぜんどう)運動を支える腹筋や横隔膜などの筋力の衰えを防ぐことは、便秘になりやすくなるのを防ぐ物理的な助けにもなります。このように、運動不足による筋力低下を改善することは、太りにくい身体づくりと排便力の維持に直結しています。家事や仕事の合間にストレッチや筋力トレーニングを行うことは、効率よく全身の基礎代謝を上げることができるため、時間が限られている働く女性におすすめです。無理な負荷をかける必要はありませんので、まずは自宅や職場などで少しずつ習慣として始めてみるのが良いでしょう。

自律神経を整える

ストレスや過労を溜め込まず、腸を整える生活習慣として「適度な運動」と「十分な睡眠時間」を確保することは欠かせません。ウォーキングなどの有酸素運動や家事で体を動かすと、体の振動や筋肉の働きが腸内の便の動きを物理的にサポートしてくれます。

また、十分な睡眠をとることは、朝起きた時に便を大腸の先まで送るという重要な役割を果たしています。これらを毎日の生活に取り入れることで全身の健康が保たれ、排便のリズムも整いやすくなります。

「肥満症」なら医療機関を受診する

自身の体型や体調が医学的な治療の対象であるかどうかを正しく知ることは、健康な未来を守るための重要なステップです。下記に該当する場合は、単なる「太り気味」ではなく「肥満症」という疾患として扱われます。

脂肪組織に脂肪が過剰に蓄積した状態で, BMI≧25のものを肥満と定義し, ひまんがあり, 肥満に起因ないし関連する健康障害を合併するか, その合併が予測され、医学的に減量を必要とする病態を肥満症の定義とする

引用:日本肥満学会編「肥満症診療ガイドライン2022」第1章 1 肥満症の概念と診断・治療

自己流の食事制限や運動だけで成果が出ない場合や、体重増加に伴い血圧や血糖値の数値が悪化している場合は、専門の医療機関を受診し、医師による適切な指導を受けることが推奨されます。医療機関では、血液検査や生活習慣のヒアリングに基づいた専門的な食事・運動療法の指導のほか、必要に応じて適切な薬剤を用いた治療が行われることもあります。一人で悩まず、医学的なサポートを受けることで、より安全かつ確実に健康な体へと近づくことができます。

まとめ:自分の体を正しく知り、小さな習慣から変える

肥満と便秘は、生活習慣、自律神経、そして腸内細菌といったさまざまな要素を通じて深く関わり合っています。30代から40代の女性にとって、仕事と健康の両立は大きな課題ですが、まずは自分の体の現状を正しく把握し、小さな習慣から変えていくことが大切です。

便秘を解消して腸内環境を整え、適度な運動によって代謝を良くする生活を積み重ねることで、ぽっこりおなかの悩みだけでなく、体の不調や肌荒れなどの悩みも改善されていくはずです。

参考資料

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監修

社会医療法人 寿楽会 大野クリニック 院長

片山 和宏 先生

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