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太りすぎて痩せ方がわからない人へ!無理なく健康を取り戻すアプローチを解説

この記事でわかること
  1. 太る原因とダイエットの心構え
  2. 無理なく痩せる生活習慣
  3. 医療機関で受けられる治療

体重が増え続けて体が重くなると、動くこと自体が億劫に感じられます。インターネット上にあふれるダイエット情報を見るたびに、「自分には無理だ」と落ち込み、途方に暮れてしまう方も少なくありません。

しかし、痩せ方がわからないからといって諦める必要はありません。大幅に体重が増えてしまった状態には、それに合わせた正しいアプローチが存在します。まずはご自身の体への負担を最小限に抑え、安全に健康を取り戻すための第一歩を一緒に探っていきましょう。

太りすぎて痩せ方がわからない人のダイエットの心構え

体が重く、思うように動けない状態からのダイエットでは、まずご自身の体と心の状態を正しく受け止めることが重要です。これまでの挫折や不安をリセットし、安全で無理なく続けられるアプローチを見つけていきましょう。

太る原因は「意思の弱さ」?

「ここまで太ったのは、食べ過ぎを我慢できない自分の意思が弱いせいだ」と責めていませんか。医学的な観点から見ると、肥満は個人の意思や根性だけで説明できるものではありません。私たちの体内では、食欲や代謝を調節するさまざまなホルモン自律神経が複雑に働いており、体重の増減に深く関わっています。遺伝的要素に加え、ストレス、睡眠不足、不規則な生活習慣などが重なると、脳の満腹中枢が正常に働かなくなり、自然と食欲が増したり、エネルギーを溜め込みやすくなったりします。つまり、太る原因は「心が弱いから」ではなく、体内の「調整システムが乱れているから」なのです。精神論ではなく、科学的・医学的なアプローチで対処しようと考えることが、減量への第一歩となります。

焦らずじっくり取り組むことが大切

長年かけて蓄積した体重を数週間で一気に減らすのは、体にとって大きな負担です。急激な減量は筋肉を落として基礎代謝を下げ、さらに太りやすく痩せにくい体質につながります。また、無理な目標はストレスを生み、リバウンドのリスクを高める可能性があります。

日本肥満学会のガイドラインでは、肥満症治療において、まずは3~6か月かけて現体重の3%以上(高度肥満症の場合は5〜10%)を減らすことが目標とされています。たとえば体重100kgの方なら、まずは3〜5kg程度(高度肥満症なら5〜10kg)を減らすペースが適切です。このような無理のないペースの減量であっても、血圧や血糖値、脂質代謝などの健康障害は大きく改善します。確実かつ安全に痩せるには、一生続けられる小さな習慣を少しずつ積み重ねることが大切です。

太りすぎてしまったときの無理をしないダイエット方法

いきなり激しい運動を始めると、膝や腰などの関節を痛める可能性があります。まずは関節に負担をかけず、体にやさしい方法で日常生活の中に変化を取り入れていくことが大切です。

太りすぎてしまったときの無理をしないダイエット方法
Geminiで生成した画像を元に作成

日々の食事と生活習慣を見直す

極端な食事制限や偏ったダイエットは、長続きしないばかりか栄養失調の原因になります。まずは、肥満の大きな要因となりやすい「食事の質」と「お酒」を見直すことから始めてみましょう。

【適正体重に近づくための2つの基本】

  • 食事内容を見直す:外食やレトルト食品、コンビニでの間食などは、一般的に糖質・脂質・塩分が多く、総じてカロリーも高くなっています。脂質や糖質の質が低く、食物繊維も少ないため「非常に太りやすい食事」であることを認識し、選ぶメニューや頻度を少しずつ変えていきましょう。
  • お酒の量を減らす(節酒):アルコールは肝臓での代謝を抑制するため、内臓脂肪の蓄積を促進してしまいます。休肝日を設けたり、飲む量を減らしたりする工夫が大切です。

【さらに減量を後押しする小さな工夫】

上記の根本的な見直しに加え、以下の工夫を日常に取り入れると、ストレスなく自然な減量につながります。

  • よく噛んで食べる:一口ごとに箸を置き、30回を目安によく噛むことで満腹感が得やすくなり、内臓脂肪の分解効果も期待できます。
  • 野菜から食べる:食事の最初に野菜や海藻類をゆっくり食べることで、自然と食べ過ぎを防げます。
  • 砂糖入り飲料を水やお茶に置き換える:無意識に摂っていた糖分をカットできます。
  • 間食の質を見直す:甘いお菓子の代わりに、ギリシャヨーグルトや高カカオチョコレートなどに置き換えるのも一つの工夫です。
  • 寝る前にスマホを見ない:睡眠不足は食欲を増やすホルモンを分泌させ、太りやすい体質を作ります。寝る前の画面視聴を控え、十分な睡眠をとることも大切です。

座りっぱなしを避ける

「運動をしなければいけない」とプレッシャーに感じてしまうと、精神的な負担になりがちです。まずは「座っている時間を減らす」ことから始めましょう。

日本肥満学会のガイドラインでも、座っている時間が長いほど死亡リスクや生活習慣病のリスクが増加すると報告されています。いきなり外へ出て運動するのではなく、室内でできる工夫として以下のような行動が挙げられます。

  • 1時間に一度は立ち上がり、軽く肩を回したりその場で足踏みをしたりする。
  • テレビのコマーシャルの間や、スマートフォンの操作中に立って過ごす。
  • 家事の合間に、関節に負担のかからない範囲で上半身をゆっくりと伸ばすストレッチを行う。

わざわざ「運動」の時間を設けなくても、こまめに体を動かす習慣をつけるだけでエネルギー消費を増やせます。

この生活に慣れてきたら、少しずつ歩く時間を増やしてみましょう。減量のための最終的な目標としては「1回30分の軽い運動を週5回(週に合計150分)」が推奨されていますが、最初から無理をする必要はありません。焦らず自分のペースで強度を上げていくことが大切です。また、体が重くて歩いたり走ったりするのが大変な場合は、関節への負担が少ないプールでの水中歩行もおすすめです。

「太りすぎ」は生活指導や薬でも改善を目指せる

自力での取り組みに限界を感じ、どのように痩せたらよいかわからなくなってしまった場合は、医療の力を借りるという選択肢があります。肥満が原因で健康障害が生じている、あるいはそのリスクが高い状態は、医学的に治療が必要な「疾患」として扱われます。「自分はただ太っているだけ」と思っていても、実はすでに治療が必要な状態かもしれません。ご自身の状態が当てはまるかどうか、まずは医学的な基準を確認してみましょう。

医学的に治療が必要となる肥満症の基準

医学において、単に体重が重い「肥満」と、治療が必要な「肥満症」は明確に区別されています。

まず、日本では、肥満は以下のように定義されています。

肥満の定義は,中性脂肪脂肪組織への過剰な蓄積によりBMI≧25に至った状態である。

引用:日本肥満症治療学会編「減量・代謝改善手術のための包括的な肥満症治療ガイドライン2024」1 肥満症の診断と治療 4 肥満症の診断と治療目標

一方、肥満症の定義は以下の通りです。

肥満症の定義は、肥満に起因する健康障害を来しているか,それを来す可能性が高い状態である。後者の中に,内臓脂肪型肥満を含む。

 引用:日本肥満症治療学会編「減量・代謝改善手術のための包括的な肥満症治療ガイドライン2024」1 肥満症の診断と治療 4 肥満症の診断と治療目標

ここで対象となる「肥満に起因する健康障害」について、日本肥満学会の「肥満症診療ガイドライン2022」では、以下の11の疾患を挙げています。

  • 耐糖能障害(2型糖尿病・耐糖能異常など)
  • 脂質異常症
  • 高血圧
  • 高尿酸血症痛風
  • 冠動脈疾患
  • 脳梗塞・一過性脳虚血発作
  • 非アルコール性脂肪性肝疾患
  • 月経異常・女性不妊
  • 閉塞性睡眠時無呼吸症候群・肥満低換気症候群
  • 運動器疾患(変形性関節症、変形性脊椎症)
  • 肥満関連腎臓病

さらに、同ガイドラインでは、より重度な状態として「高度肥満」と「高度肥満症」を以下のように定義しています。

高度肥満は,肥満と判定され,二次性肥満を除外されたもののうち,BMI ≧ 35の肥満者をいう。

 引用:日本肥満学会編「肥満症診療ガイドライン2022」第2章 肥満の判定と肥満症の診断基準 2 肥満症の診断

肥満症の定義に則り,BMI ≧ 35の高度肥満と判定されたもののうち,肥満関連健康障害を有するか,あるいは内臓脂肪蓄積を認める場合を高度肥満症の定義とする。

 引用:日本肥満学会編「肥満症診療ガイドライン2022」第2章 肥満の判定と肥満症の診断基準 2 肥満症の診断

つまり、BMI(体格指数)が25以上である状態を「肥満」、BMIが35以上を「高度肥満」と呼びますが、これらに加えて高血圧、糖尿病、脂質異常症などの健康障害を合併している場合や、内臓脂肪の蓄積が著しい場合に、初めて「肥満症」や「高度肥満症」という病名がつき、治療の対象となります。体重が著しく増加すると、これらの疾患が同時に進行しやすく、ドミノ倒しのように健康状態が悪化する恐れがあります。そのため、一人で無理なダイエットを続けるのではなく、早めに医療機関へ相談し、専門家のサポートを受けながら体重をコントロールしていくことが大切です。

▶自分のBMIをチェックする

医療機関で取り組む肥満症の治療

肥満によって健康障害が生じている場合は「肥満症」という疾患であり、医療機関での適切な治療が必要です。医療機関では、医師や管理栄養士、理学療法士などの多職種が連携し、患者一人ひとりの身体状況や合併症の有無、関節の状態などを客観的に評価した上で、減量プログラムを作成します。一人で孤独に取り組むダイエットとは異なり、定期的な通院を通じて心身のサポートを受けながら、効率的に治療を進めることができます。

肥満外来で受けられるサポート

肥満症の治療を専門に行う「肥満外来」では、個別の状況に応じて、無理なく体重をコントロールするための手段が用意されています。具体的な治療方法は、医師と相談しながら決めていきます。

肥満外来で受けられるサポート
Geminiで生成した画像を元に作成

プロによる生活習慣の指導

肥満症治療の土台となるのが、食事、運動、行動などの生活習慣に関する専門的な指導です。医師や管理栄養士が、現状の食生活や活動量を細かく分析し、本人が実践しやすく、かつ長期的に続けられる具体的な行動変容プランを一緒に考えます。

例えば、食事指導では過度な絶食を避けて必要な栄養素をバランスよく補給する方法を学び、運動指導では関節に痛みがある方でも安全に取り組める「座ったままできる軽い運動」や「水中でのアプローチ」などが提案されます。これらは強制されるものではなく、対話を通じて無理のないペースで実行できるよう配慮されているため、正しい知識を身につけながら取り組むことができます。

肥満症治療薬による治療

生活習慣の改善努力を行っても減量が困難な場合や、健康障害のリスクが特に高い高度肥満症の方には、医師の判断で肥満症治療薬が処方されることがあります。

近年、脳や胃腸に働きかけて満腹感を長持ちさせ、食欲を抑える新しい注射薬などが国内で承認されています。ただし、これらは薬ごとに厳格な処方基準や保険適用の条件が定められており、誰でも安易に使用できるものではありません。安全のため、医師の指導と定期的な副作用チェックのもとで使用される薬です。

専門の外科と連携した胃の外科手術(減量手術)

内科的治療や生活習慣の指導を長く続けても効果が不十分で、重篤な合併症(糖尿病や睡眠時無呼吸症候群など)がある高度肥満症の方には、肥満外来から専門の外科へ紹介され、胃を小さくして食事量を物理的に制限する「減量手術(メタボリックサージェリー)」が選択肢となる場合があります。この手術にも厳格な保険適用条件が定められており、誰でも受けられるわけではありません。内科的治療よりも大幅な減量効果や、糖尿病などの改善効果が医学的に確認されていますが、効果を持続させるため、術後も肥満外来などでの内科的サポートが必要となります。

肥満外来を受診する際の注意点

医療の力は減量に向けた大きな助けとなりますが、受診や治療の選択にあたっては以下の点に留意してください。

「薬で楽に痩せられる」は間違い

「肥満症治療薬」と聞くと、薬だけで簡単に体重が落ちるイメージを持つかもしれませんが、それは誤りです。まず、薬である以上、吐き気や便秘などの胃腸障害や、まれに急性膵炎といった重大な疾患を招く副作用のリスクが伴います。また、薬物治療は、あくまで患者さんが「食事改善や運動習慣の確立に取り組みやすくするための補助手段」に過ぎません。薬で一時的に減量できても、使用後に元の乱れた生活に戻れば再び体重は増加してしまいます。だからこそ、治療には医師の指導が不可欠です。副作用を安全に管理し、薬を使っている期間に健康的な生活習慣を定着させるために、自己判断での安易な使用は避け、医療機関のサポートを受けながら治療を進めましょう。

肥満症治療薬は美容目的の薬ではない

近年、SNSなどで肥満症治療薬が「簡単ダイエット薬」として紹介されることがありますが、前述の通り、深刻な健康障害を抱える患者さんのための薬であり、明確な適応基準があります。基準を満たさない健康な人が美容目的で使用することは推奨されていません。重大な副作用のリスクもあるため、医師の処方に基づかない個人輸入や美容クリニックでの自費処方に頼る行為は避けましょう。

自費診療のクリニックは費用や契約内容をよく確認する

一部の民間クリニックでは、保険適用外の薬や機器を用いた施術を「医療ダイエット」と宣伝し、高額なコースを勧めるケースがあります。強引な勧誘や高額な違約金請求、医師の十分な説明がないままの薬剤処方によるトラブルなどが報告されています。自費診療を検討する場合は、以下の点を確認しましょう。

  • 治療プログラムの総額費用と、追加費用の有無
  • 治療薬や施術の有効性、具体的な副作用、リスクに関する説明
  • 途中解約時の条件や、返金保証の内容

不安や不審な点があれば、その場での契約は避け、「消費者ホットライン」などの公的な窓口に相談しましょう。

まとめ:生活習慣の見直しから始め、難しければ医療機関に相談を

安全なダイエットは、「よく噛んで食べる」「座っている時間を減らす」といった、日常の小さな生活習慣の改善から始まります。もし自力での減量が難しい場合、それは意思の弱さではなく、医学的な治療が必要な「肥満症」である可能性があります。極端な食事制限や無理な運動で体調を崩す前に、医療機関の「肥満外来」に相談し、専門家のサポートのもとで安全な減量を進めましょう。

参考資料

監修

守口敬仁会病院 腎臓内科 透析センター長

奥田 英伸 先生

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