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「適度な運動」の強さをマウス実験で科学的に定義

POINT
  1. マウスを用いた実験で、「適度な運動」の強度を分子レベルで定義
  2. アピゲニンとドキサゾシンが「運動模倣薬」の候補となる可能性
  3. 今後は、ヒトでも同じように成り立つのか検証が必要

「適度な運動」とは何か、マウスの骨格筋で検証

神戸大学は、マウスを用いた実験で、「適度な運動」を科学的に定義することに成功したと発表しました。この研究は、同大大学院医学系研究科の研究グループによるものです。

運動は、肥満を含むさまざまな病気の予防や改善に役立つことが知られており、世界保健機関(WHO)などのガイドラインでは週150分以上の「適度な運動」が推奨されています。

運動は弱すぎると十分な効果が得られず、強すぎると酸化ストレスなどにより、体に悪影響が出る可能性もあります。しかし、「適度な運動」とはどのくらいの強さなのか、体の中でどのような変化が起きているのかは、十分にわかっていませんでした。

そこで今回の研究では、運動強度を段階的に変えたマウスの骨格筋を多角的に解析し、「適度な運動」を分子(遺伝子・タンパク質)レベルで定義することを目指しました。

酸化ストレスを抑えながら効果を高める運動強度が判明

実験では、マウスに強度を少しずつ上げた有酸素運動(トレッドミル走)と筋力増強運動(ラダー登り)を行わせました。その上で、運動による持久力向上に関わる遺伝子の働きや酸化ストレスの指標などの変化を調べました。

その結果、有酸素運動では速度20 m/分、筋力増強運動では体重の120%の負荷が、酸化ストレスを起こさず、運動による体内の反応を分子レベルで最も高める強度であることが判明しました。8週間の継続トレーニングでも、この運動強度で、ミトコンドリア機能の向上と筋肥大が最も効率よくみられることが確認されました。

さらに、この強度の運動が、代謝や筋タンパク質バランス、体内時計の調節に関わる複数の経路に共通して影響を与えることが明らかになりました。

運動の効能を再現する候補物質も発見

研究グループは、運動に似た変化を引き起こすことができる物質を探索し、食品由来成分である「アピゲニン」と、高血圧や前立腺肥大症の治療薬「ドキサゾシン」を候補として見いだしました。

これらの物質をマウスに投与し、運動と組み合わせた場合の効果を調べたところ、アピゲニンでは持久力とミトコンドリア機能の向上が認められました。一方、ドキサゾシンは、握力の増強と筋量・骨量の維持、関節軟骨の保護に寄与することがわかりました。

これらの結果から、アピゲニンとドキサゾシンが運動の効能を部分的に再現できる「運動模倣薬」となる可能性が示されました。

今回の研究成果は、これまで経験や主観に基づいていた「適度な運動」を分子レベルで客観的・定量的に定義するものです。今後は、マウスで定義された「適度な運動」がヒトでも同じように成り立つかを検証していく必要があります。研究グループは、運動が困難な高齢者やサルコペニアや変形性関節症などの患者さんへの応用を目指し、アピゲニンとドキサゾシンの研究を進めるとしています。(ひまんラボ編集部)

出典:神戸大学 プレスリリース

本記事は、2026年4月30日に神戸大学より発表されたプレスリリース「「適度な運動」を分子レベルで科学的に定義 飲むだけで運動と同様の効能をもたらす運動模倣薬の候補も同定」を元に、患者さんやダイエットを検討中の方に向けてわかりやすく要約・解説したものです。

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