- 内臓脂肪を減らす運動の条件
- レベル別の効果的な運動方法
- 安全に運動するための注意点
健康診断などで内臓脂肪の数値を指摘され、おなか周りが気になっている方も多いのではないでしょうか。デスクワーク中心の生活では運動不足になりがちですが、ジムに通う時間が十分に取れなくても、自宅の限られたスペースで効率よく取り組むことは可能です。この記事では、内臓脂肪を減らす運動の条件や、レベル別の具体的なメニューを解説します。
内臓脂肪を減らす運動の条件
内臓脂肪を効率よく減らすためには、必要な運動量、強度、種類を知り、無理なく継続することが大切です。
必要な運動量
体脂肪を1kg減らすために必要なエネルギー量は約7,000kcalです。しかし、運動だけでこれを消費するのは難しいため、運動療法単独では減量にはあまり効果的ではなく、適切な食事制限(エネルギー摂取量の制限や節酒)と併用することで、体重や内臓脂肪の減少を促進します。この食事療法と運動の相乗効果によって、効率よく脂肪を燃焼させることができます。
厚生労働省が策定した「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、成人に対して「歩行またはそれと同等以上の身体活動を1日60分以上(1日約8,000歩以上)」「息が弾み汗をかく程度の運動を週60分以上」行うことが推奨されています。しかし、最初からこの目標を達成できなくても問題ありません。まずは「+10(プラステン):今より10分(約1,000歩)多く体を動かそう」を意識して、細切れでも良いので活動量を増やすことが大切です。また、デスクワークの方が特に意識したいのは、座位行動(座りすぎ)を減らし、こまめに立ち上がることです。これも立派な内臓脂肪対策となります。
運動の強度
内臓脂肪を減らすための運動は、きつすぎるものよりも、適度な強さを維持することが効果的です。具体的には、「ややきつい」と感じる程度の中等度の強度が目安となります。これは、会話しながら歩行できたり、うっすらと汗をかいたりする程度の運動です。また、1分間に110〜120回程度の心拍数も目安の一つとなります。最初から息が切れるような激しい運動を行うと長続きしない原因にもなるため、心地よい強度を保つようにしましょう。
運動の種類
内臓脂肪を減らすためには、全身の大筋群(太ももや背中などの大きな筋肉)を動かす有酸素運動が基本となります。さらに、これに加えて筋肉量を維持・向上させるためのレジスタンス運動(筋力トレーニング)を週に2〜3日組み合わせて実施することが推奨されています。筋肉量が増えることで基礎代謝が維持され、日常生活でのエネルギー消費量が増えやすい体づくりにつながります。
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ウォーキング・水中ウォーキング
ウォーキングは、特別な器具を使わずに始められる代表的な有酸素運動です。効果を高めるためには、姿勢をまっすぐに保つことがポイントです。おなかに力を入れて体を引き上げ、耳たぶ、肩、腰、くるぶしが一直線になる姿勢を意識して歩行しましょう。大股で歩くことを意識すると、カロリー消費の増加が期待できますが、同時に関節への負担が大きくなるリスクもあるため、無理のない範囲で行うことが大切です。関節への負担が気になる場合は、浮力によって膝への負担を減らしつつ、水の抵抗で効率よく運動ができる「水中ウォーキング」もおすすめです。
踏み台昇降
踏み台昇降(ベンチステップ運動)は、自宅の限られたスペースで天候に左右されず、「ながら」運動としても行える手軽な有酸素運動です。階段の1段目や市販のステップなどを利用して行います。背筋を伸ばし、腕を前後に振りながら「上って、下りて」という動作を一定のテンポで繰り返します。息が上がりすぎない無理のないペースで、まずは10分程度から始め、慣れてきたら徐々に時間を延ばしていくと効果的です。
エア自転車こぎ
エア自転車こぎは、仰向けに寝転んだ状態で足を空中で動かすエクササイズで、床だけでなくベッドの上でも手軽に行えます。仰向けになり、両手を床に置いて体を安定させ、まるで自転車のペダルをこぐように足を交互に大きく回します。腰が床から浮かないようにおなかに力を入れ、ゆっくりと大きく円を描くように回すのがポイントです。
壁スクワット
壁スクワットは、通常のスクワットよりも膝や腰への負担を抑えながら、太ももやお尻の大きな筋肉を鍛えられるトレーニングです。壁に背中をつけた状態で立ち、足を肩幅に開いて、壁に背中を滑らせるようにしてゆっくりと腰を落としていきます。太ももが床と平行になる手前まで腰を落とし、そこで数秒キープしてからゆっくり戻ります。10回を1セットとして、まずは2セットを目指しましょう。
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水泳
水泳は、全身の筋肉をバランスよく使用する有酸素運動です。クロールや平泳ぎなど、ご自身が無理なく続けられる泳ぎ方で、一定のペースを保って長く泳ぐことがポイントとなります。息が上がりすぎないペースを保ち、30分程度を目安に泳ぎ続けることで脂肪燃焼効果が高まります。
ランニング(ジョギング)
ランニングは、ウォーキングよりも高い強度でエネルギーを消費できる、効率のよい有酸素運動です。ただし、いきなり長時間のランニングを開始すると膝など下肢関節を痛める原因にもなります。最初は短い時間から始め、「楽である~ややきつい」と感じる無理のないペースを維持するよう心がけましょう。軽く前傾姿勢をとり、腕をリズムよく振って走るのがポイントです。
エアロバイク
エアロバイクは、室内で自転車こぎ運動ができるフィットネス器具で、自宅やジムで手軽に有酸素運動ができます。天候に関係なく自分のペースで運動できるため、継続的な習慣作りに役立ちます。ペダルが一番下にきたときに膝が軽く曲がる程度にサドルの高さを合わせ、息が上がりすぎないペースを保つとよいでしょう。
クランチ
クランチは、おなかの正面にある腹直筋を鍛える代表的なトレーニングです。効果を高めるポイントは、息を吐きながら顎を引いておへそを見るように上体を起こし、息を吸いながらゆっくりと戻すことです。もし腹筋が弱く上体が上がりにくい場合は、タオルの補助を使いましょう。仰向けになって背中から腰の下にかけてフェイスタオルなどを敷き、顔の横でタオルの両端を握ります。そのまま顎を引いて胸を見るようにし、ひじを上げながらタオルで背中を包み込むようにして床から引き上げると、無理なく正しいフォームで行えます。まずは5〜10回を1セットの目安として取り組んでみましょう。

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体調が悪い日や痛みが出たときは中止する
体調が優れないときは無理をせず休むことが大切です。特に高血圧を指摘されている方は、血圧確認を習慣にしましょう。運動前の血圧が普段よりも著しく高い場合は運動を控えて休養し、少し高めの日でも散歩程度の軽い運動にとどめるなど、無理のない調整が必要です。また、運動中に胸の痛み、動悸、めまい、冷や汗などの異変を感じた場合は直ちに運動を中止してください。
運動前には準備運動を行う
運動を始める前は、怪我や内科的事故を防ぐためにウォームアップ(準備運動)を行い、体を温めてから本運動に移りましょう。また、運動を急に中止すると血圧低下が誘発され、めまいや失神、不整脈が起きる可能性があるため、運動後も5〜10分ほど軽い運動(クールダウン)を行う必要があります。
運動中もこまめに水分・塩分を補給する
運動を行う際は、脱水症状や熱中症を防ぐために、水分・ナトリウム(塩分)の補給を行うことが大切です。運動中も15分に1回程度を目安に、こまめな補給を行うよう心がけましょう。
持病がある方は医師に禁忌を確認する
高血圧や糖尿病などの持病がある方、または何らかの薬を服用中の方は、無理をせず運動を始める前に必ず主治医に相談してください。服用している薬の種類によっては、運動時の体調に影響を与える場合があるため、ご自身で判断せず、安全な運動の進め方について事前に医師へ確認しておくことが大切です。
内臓脂肪の減少や肥満解消は医師に相談できる
「自分一人で運動を続けられるか不安だ」と感じる場合は、医療機関を受診して医師に相談するという選択肢があります。健康診断などで内臓脂肪の蓄積を指摘されている場合、単なる「運動不足」ではなく、将来の健康障害のリスクを伴う「肥満症」のサインかもしれません。医療機関では、医師をはじめとする専門家が、個人の健康状態やライフスタイルに合わせた食事指導や運動療法のサポートを行っています。一人で抱え込まずに専門家の力を借りることは、健康的な体を取り戻すための一歩となります。
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まとめ:健康的な習慣づくりから始めよう
まずは「今より10分多く動くこと」や「座りすぎを減らすこと」など、日々の生活の中で無理なくできる運動から始めてみましょう。少しずつ体を動かす習慣が身についてきたら、並行して適切な食事の見直しや節酒を取り入れると、内臓脂肪の減少にいっそう効果的です。安全に行うため、日々の体調管理や、持病がある場合は事前に医師へ相談することも大切です。無理のない範囲で生活に定着させていくことで、数値の改善はもちろん、将来の病気の予防や健康的な毎日の維持へとつながっていくでしょう。
参考資料
- 厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」
- 日本肥満学会「肥満症診療ガイドライン2022」
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「レジスタンス運動」
- スポーツ庁「手軽にできる!ながらでできる!?Myスポーツメニュー」(女性スポーツ推進事業)
監修
渡会 昌広 先生