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肥満と心筋梗塞の関係は?リスクを高める理由や症状、予防法を解説

この記事でわかること
  1. 肥満が心筋梗塞のリスクを高める理由
  2. BMI・腹囲の見方と心筋梗塞でみられる症状
  3. リスクを下げる生活習慣の具体策

健康診断でBMIや腹囲、血圧、コレステロールなどを指摘されると、「このままでは心筋梗塞になるのでは」と心配になる人もいるかもしれません。この記事では、肥満と心筋梗塞がどのように関係するのか、リスクの目安となるBMI・腹囲、気をつけたい症状や受診の目安、予防のためにできることを解説します。

肥満と心筋梗塞の関係性|リスクは本当に高い?

心筋梗塞は、心臓に血液を送る冠動脈が詰まり、心筋に十分な酸素が届かなくなる病気です。心筋梗塞の主な原因は、冠動脈の動脈硬化です。代表的な仕組みの一つは、冠動脈の動脈硬化でできた「プラーク(血管の壁にコレステロールなどがたまったもの)」が破れ、その部分に血小板が集まって血栓ができ、冠動脈が急に詰まることです。

肥満に伴う内臓脂肪の蓄積や、高血圧・脂質異常症・糖尿病などが、動脈硬化を進めることからも、肥満は心筋梗塞のリスクを高める要因の一つとなり得ます。一方で、肥満があるからといって必ず心筋梗塞を発症するわけではありません。自分に当てはまるリスクを知り、予防のためにできることに取り組むことが大切です。

肥満が心筋梗塞のリスクを高める理由

肥満と心筋梗塞の間には、内臓脂肪そのものによる影響と、肥満に伴いやすい高血圧や脂質異常症などを介した影響があります。

肥満が心筋梗塞のリスクを高める理由の説明図
Geminiで生成した画像を元に作成

内臓脂肪が動脈硬化を引き起こす

内臓脂肪とは、おなかの内臓の周りに蓄積する脂肪です。皮膚の下に蓄積する皮下脂肪とはつく場所が異なり、腹囲は内臓脂肪の蓄積の目安になります。内臓脂肪が増えると、炎症に関わる物質の分泌が増え、インスリンが効きにくくなったり、脂質代謝に異常が起こったりします。

こうした変化は血管の機能低下や炎症を通じて、動脈硬化を進める要因になります。内臓脂肪の多さはBMIとは独立して心血管疾患のリスクと関連することも報告されているため、体重だけでなく腹囲も確認することが大切です。

肥満関連疾患が血管に負担をかける

肥満では、高血圧、脂質異常症、2型糖尿病などを合併しやすくなります。高血圧は血管に負担をかけ、LDLコレステロールの高値や高血糖も動脈硬化や血管障害を進める要因になります。

内臓脂肪の蓄積に高血圧、高血糖、脂質代謝異常が組み合わさった状態がメタボリックシンドロームです。こうした危険因子が重なると、心臓病や脳卒中などを起こしやすくなります。

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心筋梗塞リスクの目安となるBMI・腹囲の基準

ここまでみてきたように、肥満は心筋梗塞のリスクと関連しています。それでは、心筋梗塞のリスクを考えるうえで、BMIや腹囲はどのような目安になるのでしょうか。

BMIは心筋梗塞リスクを考える目安の一つ

BMIは体重(kg)を身長(m)の2乗で割った値で、日本ではBMI25以上が「肥満」、35以上が「高度肥満」と判定されます。BMIが高いほど、心筋梗塞や狭心症などの冠動脈疾患のリスクが高くなることが報告されています。

日本を含む複数の国・地域の95のコホート、約122万人をまとめた解析では、BMI18.5~24.9の人と比べ、BMI25~29.9の人では冠動脈疾患のリスクが女性で約1.2倍、男性で約1.2倍、BMI30以上では女性・男性ともに約1.6倍でした。

ただし、BMIは脂肪の量やつき方を直接示す指標ではありません。心筋梗塞のリスクはBMIだけでなく、腹囲や血圧、LDLコレステロール、糖尿病、喫煙、年齢、家族歴なども合わせて考える必要があります。

腹囲とメタボリックシンドロームの基準

メタボリックシンドロームの診断に用いる腹囲は、立った状態で、息を軽く吐いたときに、へその高さを水平に測ります。日本では、この腹囲が男性85cm以上、女性90cm以上で、さらに中性脂肪150mg/dL以上またはHDLコレステロール40mg/dL未満、血圧130/85mmHg以上、空腹時血糖110mg/dL以上の3項目のうち2項目以上に該当すると、メタボリックシンドロームと診断されます。

腹囲は内臓脂肪の蓄積を推定する指標です。腹囲だけで心筋梗塞の発症を予測することはできませんが、内臓脂肪の蓄積は高血圧や高血糖、脂質代謝異常などの健康リスクと関連するため、自分の腹囲を把握しておくことは大切です。

胸の圧迫感・息切れは心筋梗塞のサイン?

胸の圧迫感や息切れなど、心臓の異常を疑う症状にはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは、心筋梗塞や、冠動脈が狭くなるなどして心筋への血流が一時的に不足する狭心症でみられる症状と、受診の目安をみていきます。

心筋梗塞でみられる主な症状

心筋梗塞では、胸を強く圧迫される、締め付けられるように感じる、胸が痛むといった症状がみられます。痛みや不快感が腕、肩、背中、首、あご、みぞおち付近に広がることもあります。また、息切れ、吐き気、冷や汗、倦怠感などもみられることがあります。必ずしも胸痛を伴うとは限らず、特に高齢者や糖尿病のある人では、息切れや吐き気などの胸以外の症状が前面に現れることがあります。

循環器内科を受診する目安

歩行や階段などの動作をしたときに胸の圧迫感や痛みが出て、休むと数分で治まる場合は、狭心症の可能性があります。狭心症が必ず心筋梗塞の前触れになるわけではありませんが、症状が以前より頻繁になったり、軽い動作でも出るようになったりする場合は、状態が変化している可能性があります。症状が治まっていても、早めに循環器内科などで相談しましょう。

なお、突然の激しい胸痛がある、胸の圧迫感や締め付け感が続く、呼吸困難や冷や汗がみられるなどの場合は、外来受診を待たず119番に連絡してください。厚生労働省も、胸の中央が締め付けられる、または圧迫されるような痛みが2~3分続く場合なども、すぐに救急車を呼ぶ症状として挙げています。

肥満による心筋梗塞を予防する生活習慣

心筋梗塞の予防では、体重だけでなく、血圧、血糖、脂質などのリスク因子を改善することも大切です。ここでは、毎日の生活に取り入れやすい食事と身体活動のポイントをみていきます。

肥満による心筋梗塞を予防する生活習慣の説明図
Geminiで生成した画像を元に作成

減塩と野菜・魚中心の食事を意識する

食塩のとりすぎは高血圧につながり、虚血性心疾患のリスクを高める要因になります。「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、成人の食塩相当量の目標量は男性7.5g/日未満、女性6.5g/日未満で、高血圧や慢性腎臓病の重症化予防では男女とも6.0g/日未満です。

食事では、野菜、魚、大豆製品などを取り入れ、肉の脂身などに多い飽和脂肪酸や飲酒のとりすぎにも注意します。麺類の汁を残す、調味料をかけすぎないなど、続けやすい方法から始めましょう。

有酸素運動を1日30分程度取り入れる

ウォーキングなどの有酸素運動は、体脂肪を減らすだけでなく、血圧、血糖、血中脂質の改善にもつながります。厚生労働省の「身体活動・運動ガイド2023」では、成人に歩行などの身体活動を1日60分以上、息が弾み汗をかく程度の運動を週60分以上行うことが推奨されています。

慢性疾患がある人では、1日30分以上の中強度の身体活動も目安の一つです。最初から30分続けることにこだわらず、体力や体調に合わせて増やしましょう。心臓病や高血圧を指摘されている人、胸痛や普段と違う息切れがある人は、運動を始める前に医師へ相談してください。

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冠動脈疾患を伴う肥満は「肥満症」に該当する場合がある

日本では、BMI25以上の肥満があり、肥満に起因・関連する健康障害を合併している場合などに「肥満症」と診断されます。その健康障害には、高血圧、脂質異常症、2型糖尿病のほか、心筋梗塞や狭心症を含む冠動脈疾患も含まれています。

肥満症の治療目的は、体重を減らすこと自体ではなく、減量によって肥満に関連する健康障害を予防・改善することです。治療では、食事や身体活動などの生活習慣の改善を基本に、健康状態や肥満の程度などに応じた治療が行われます。

すでに冠動脈疾患がある場合や、健診で高血圧・脂質異常症・高血糖などを複数指摘されている場合は、「肥満症」として治療の対象になるかどうか、医療機関で相談してみましょう。

治療について詳しく知りたい方は「肥満外来(ダイエット外来)とは:自力で痩せないのは「疾患」かも?受診基準や治療内容を徹底解説」をご覧ください。

まとめ

心筋梗塞は、心臓に血液を送る冠動脈が詰まり、心筋に十分な血液が届かなくなる病気です。肥満、とくに内臓脂肪の蓄積は、動脈硬化や高血圧、脂質異常症、高血糖などを通じて、心筋梗塞のリスクを高める要因になります。BMIや腹囲だけで発症するかどうかが決まるわけではありませんが、自分の体重や腹囲、健診結果を確認し、生活習慣の改善につなげることが大切です。

食事や身体活動を無理のない範囲で見直し、必要であれば「肥満症」として治療の対象になるか医療機関で相談することも選択肢です。胸の圧迫感や息切れなどがある場合は「肥満のせい」と決めつけず、気になる症状は早めに医療機関で相談しましょう。

参考資料

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監修

総合東京病院 内科

牧野 憲嗣 先生

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