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【体験談】125kgで救急搬送から16年。約50kgの減量と健康を取り戻すまで

肥満症とは、肥満に起因する健康障害を合併するか、その合併が予測される状態で、医学的な治療が必要な疾患です。今回は、過酷な労働環境とストレスから暴飲暴食を繰り返して体重125kgとなり、重症の糖尿病を発症したT.K.さんの体験談をご紹介します。保険診療で糖尿病と肥満症の治療に取り組んだ16年の経緯や、約50kgの減量による生活の変化、同じように悩む方へのメッセージを伺いました。

※記事の内容は個人の体験であり、全ての方に該当するものではありません。(取材日:2026年6月10日)

プロフィール

名前:T.K.さん
年代:50代
性別:男性
身長:179cm、治療前体重:125kg・現在の体重:77kg
BMI 治療前:39.0・現在:24.0
肥満症に関連する健康状態 :糖尿病、高血圧、脂肪肝

リバウンドを繰り返し125kgに。意識不明で救急搬送され糖尿病が発覚

――治療を始めることになったきっかけを教えてください

今から16年ほど前、自宅で意識を失って救急搬送されたことがきっかけです。当時は配送会社でドライバーの仕事をしており、過酷な労働環境に身を置いていました。毎日忙しく、睡眠時間はわずか1〜2時間という日々が続いていました。

心身ともに限界に近いストレスを抱えながらも、誰にも愚痴を言えず、自分自身をコントロールできない状態に陥っていました。当時から一人暮らしで、体が重くて動くのも億劫になり、食事は自分で作らず毎日ピザや寿司などの出前を頼むなど、暴飲暴食を繰り返してしまっていたのです。さまざまなダイエットを試していましたが長続きせず、当時の体重はマックスで125kgにまでなっていました。

そんな生活の中で、仕事中に異常に喉が渇いたり、疲れやすくなったり、目がかすんで手元の物が見えにくくなったりといった体の異変を感じるようになりました。それでも「疲れているだけだろう」と我慢して働き続けていたのですが、ある日、自宅で朝起きようとしたところ、呼吸ができない状態に陥りました。自分で救急車を呼んだものの、電話口で意識を失ってしまったのです。幸いにも電話がつながっていたため救急隊の方が駆けつけてくださり、病院へと運ばれました。そこでの血液検査の結果、血糖値が680mg/dLという異常な数値(※正常値の数倍にあたる非常に高い数値)になっており、重症の糖尿病であることがわかりました。

「これ以上悪化させない」と治療と減量を決意

――その後、改めて総合病院を受診されたそうですね。どのような診断を受けたのでしょうか

内科を受診したところ、即入院を告げられました。糖尿病の合併症が進行していたためでした。その時点で視界がどんどん狭くなり、ピンポイントでしか物が見えない状態だったのですが、医師からは「今の状態は非常に重症で、最悪の場合、視力を失ったり足を切断したりするなど深刻な事態になりかねない」とはっきりと告げられたのです。

すぐに眼科を受診するように指示され、両目のレーザー治療を受けることになりました。治療の痛みは人生で一番きつく、思わず悲鳴を上げてしまうほどでしたが、先生に励まされながらなんとか乗り越え、失明の危機を免れることができました。

――そこから、どのように治療と向き合っていこうと思われたのでしょうか

医師からは、落ちた視力はもう戻らないこと、そして「死ぬまで悪化させないことが何より肝心だ」と強く言われました。一生付き合っていく病気なのだから、日頃の血糖値や血圧、体重を管理して、いかに今の症状を維持できるかが全てだというのです。ここで踏みとどまらないと、将来的に人工透析が必要になる可能性があるなど、さらに深刻な状態になってしまうと説明を受けました。

医師の言葉を聞いてとても悲しかったですし、自分の健康状態がここまで悪化していたことにショックを受けましたが、同時に「これ以上悪化させてはいけない」と強く思いました。そして、血糖値や血圧などの管理に加え、根本にある肥満にも向き合い、治療として減量に取り組んでいく必要があるのだと痛感しました。

入院
救急搬送と目のレーザー手術を経て、治療を決意(写真はイメージ)

約6年の試行錯誤を経て、自己注射による治療へ

――これまで受けてきた治療について教えてください

倒れてからの約6年間は、まずは糖尿病や血圧を改善するための飲み薬に加えて、肥満症治療の基本である食事療法や運動療法から取り組みました。病院からの指導に加え、自分でもなんとかカロリーを消費しようと、あえてきつい肉体労働を選んだりもしたのですが、その分どうしても食べすぎてしまい長続きしませんでした。病院からは食事記録の提出も求められましたが、うまく取り組むことができず、先生に怒られたくない一心でつい良いことばかりを自己申告してしまうなど、私には自力での管理が難しかったです。痩せられない焦りから、極端な食事制限をしたり、近所の整骨院で医学的根拠のないダイエット法である耳ツボダイエットに手を出したり、そこですすめられた高額なプロテインを購入してしまったこともありました。しかし、すぐにこれでは根本的な解決にならないと思いました。

試行錯誤しても体重はなかなか落ちず、膝や腰が痛く、運動することもさらに困難になっていました。そこで、倒れてから約6年が経った頃、自力での管理が難しい現状や、他のダイエットに手を出してしまったことなども含めて、改めて主治医の先生に正直に相談しました。

すると先生から、新たにGLP-1受容体作動薬や配合剤などの自己注射による治療の提案を受け、治療のステップを進めることになりました。私の場合、他の薬との兼ね合いや効き目、副作用の強さなどを見ながら、そこから現在までの約10年間は、医師と相談して何度か薬の種類を変えながら治療を続けています。現在は週に1回投与の薬を使用していますが、自分で液量を調整する手間がなくなったり、注射の針が昔の半分くらいに細くなったりと、薬の進化とともにとても扱いやすくなったと感じています。そうして治療を続けた結果、125kgあった体重は現在の77kgとなり、48kgの減量となりました。

医師に相談
医師に相談し、自己注射を始めることになった(写真はイメージ)

副作用との付き合い方と、約50kgの減量による生活の変化

――治療を続ける上で大変だと感じることはありますか?

私の場合は、自己注射の薬の副作用である強い吐き気やめまいにとても苦しみました。ただ、私としては薬の効果と副作用は一緒にあるものだと受け止めるようにしていました。自己注射を始めた頃には過酷な労働環境から離れており、現在は自宅で自分のペースでできるIT関連の仕事をしています。そのため、副作用がひどい時は無理をせず横になるなど、自分の体調に合わせて休むことができたのが、治療を継続できている大きな要因だと思います。

※薬の効果や副作用には個人差があります。治療方針については必ず主治医とご相談ください

――体重が減っていくにつれて感じた生活の変化について教えてください

私の場合は特に、膝や腰にかかっていた負担が減り、痛みが大きく改善しました。以前は少し歩いただけでのぼせてしまい、家の近所を100m歩くのにも息が上がり、休み休みでないと歩けませんでした。また、太りすぎているため太ももの内側が擦れて股ずれが起こってしまい、それもとても痛かったです。そのため、どうしても外出が億劫になってしまっていたんです。

しかし今では、休憩をはさまずに何キロも歩けるようになり、股ずれの痛みや異常な発汗も改善し、積極的に外出できるようになりました。食事についても、出前が多かったのですが、体が軽くなって動きやすくなったからこそ、自分で買い物に行き、自分で作って摂取カロリーを意識できるようになりました。今振り返ると、以前の私は自分の力だけではどうにもならない状況まで追い込まれていたのだと感じています。体重が落ちて生活が改善したことで、健康への意識も大きく変わりましたね。

自炊の習慣
自炊の習慣も身についたそう(写真はイメージ)

――治療をしっかり続けていく上で、病院や先生選びで意識されてきたことはありますか?

医師とのコミュニケーションは、人と人なのでどうしても相性があり、話しやすい先生でないと自分の状態がうまく伝わらないこともあります。私自身、そうした理由からこれまでに病院を変えたこともあります。現在は、自分のライフスタイルに合わせて受診できるよう、あえて予約不要のクリニックを選んで通院しています。

今の主治医は診察がスピーディーで驚くこともありますが、さまざまな検査機器が揃っており、各種検査でしっかりと客観的に数値を見てくれる点や、薬の治療などについて相談しやすい点が自分には合っていると感じています。自分のライフスタイルに合わせて無理なく通えて、ちゃんと数値を見てくれる病院を探していくことも、治療を続ける上では必要なのかなと思います。

「数値は嘘をつかない」―まずは医療機関へ相談してみてほしい

――最後に、ご自身の経験を踏まえて、同じように悩んでいる方へメッセージをお願いします

私自身、かつて健康診断で「要検査」や「要受診」と指摘されながらも、自己コントロールができずに放置してしまった経験があります。もし今、自分の体重や健康について「自己管理ができない」と悩んでいるなら、まずは医療機関に一度相談してみてほしいと伝えたいです。

病院に行くのが苦手だという人も多いかもしれません。ですが、これは好き嫌いの問題ではなく、自力でどうにもならなくなった時に「誰が自分を助けてくれるのか」という話なのだと思います。一人で抱え込んでいても状況は変わりません。助けてくれるのは、数値を見て体の心配をしてくれる医師だと思います。

病院で検査を受ければ、現在の体の状態が数値として明確に現れます。数値は絶対に嘘をつきません。その確かなデータに基づいて「この数値だから、こういう治療をしよう」と、具体的な治療の相談ができるのが医療機関です。まずは数値を通して、客観的に自分の体を見つめ直すことから始めてみてほしいなと思います。

また、最近ニュースなどでGLP-1受容体作動薬が安易なダイエット目的で使われているという話を耳にしますが、それは間違っていると当事者として強く感じています。私自身もそうだったように、命や目などに関わる重篤な状況の中で、客観的な検査の数値に基づき、医師の管理のもとで保険診療として処方されるべき治療薬だからです。

私の体験が同じように悩んでいる方のきっかけになればうれしいですし、本当に必要な方に正しい医療が届くことを願っています。

(編集後記)

「数値は絶対に嘘をつかない」という言葉には、ご自身の命と向き合い、長年治療を続けてきたT.K.さんだからこその確かな重みがありました。一人で抱え込まず、医療の力を頼りながらご自身に合う治療や環境を探してこられたこれまでの経験は、同じように悩んでいる方にとって、何かの参考になるのではないでしょうか。この記事が、自分を責めずにまずは医師へ相談してみるという「ひとつの選択肢」を知るきっかけになれば幸いです。T.K.さん、貴重なお話をありがとうございました!(ひまんラボ編集部)

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