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インクレチン関連薬を使った減量、日本肥満学会が健康リスクに注意喚起

POINT
  1. 日本肥満学会が「安全な減量に関するステートメント」を公表、減量に伴う健康上のリスクに注意を呼び掛け
  2. インクレチン関連薬を用いた減量に伴うケトーシスやケトアシドーシスなどの報告が増加
  3. 急激な減量や過度の食事制限を実現・維持する手段として、インクレチン関連薬を使用するべきではないと明記

日本肥満学会が「安全な減量」に関するステートメント公表

日本肥満学会は、「安全な減量に関するステートメント―インクレチン関連薬を用いた減量によるケトーシス関連事象の注意喚起―」を公表しました。

GLP-1受容体作動薬やGIP/GLP-1受容体作動薬などの「インクレチン関連薬」の登場によって、肥満症の治療は大きく変化しています。

減量は、肥満に関連するさまざまな健康障害の予防や改善に有効な治療法である一方、食事量を減らして体重を落とす行為には、本質的に一定のリスクがあります。このため同学会は、インクレチン関連薬によって「減量は容易に達成できる」という認識が広がることで、減量そのものに伴うリスクへの意識が薄れる可能性を懸念しています。

さらに、インクレチン関連薬が肥満症や2型糖尿病などの適応疾患がない人に、減量目的で使用される事例もみられています。適応外使用で生じた健康障害には、薬剤による副作用だけでなく、過度の食事制限や急速な減量など、リスクの高い減量行動が関与するとされるものも含まれると考えられています。

こうした状況を背景に、今回のステートメントでは、薬剤の適正使用だけでなく、減量を安全に行うための基本的な考え方を示しています。

急激な減量や過度の食事制限にはリスクも

ステートメントでは、減量にあたっては安全性に十分配慮し、減量中も栄養バランスの維持、ビタミンや微量元素の摂取、適切な水分補給が重要であるとしています。急激な減量を目的とした過度の食事制限は、健康障害のリスクを高める可能性があります。

また、体重が低すぎる状態は、骨代謝異常や月経異常、貧血、筋量・筋力の低下などを招くことがあります。このため、減量の方法や程度だけでなく、そもそも減量することが医学的に適切かどうかを判断することも重要であるとしています。

ケトーシスやケトアシドーシスの報告が増加

ステートメントでは、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の副作用データベースに報告されたインクレチン関連薬の使用中に発症した「ケトーシス関連事象」も取り上げています。

「ケトーシス」とは、極端な食事制限や炭水化物不足などによって脂肪の分解が進み、血液中に「ケトン体」という物質が過剰に存在する状態です。

さらにケトン体が増え、血液が酸性に傾いた状態を「ケトアシドーシス」といいます。ケトアシドーシスでは、悪心・嘔吐、腹痛、強い倦怠感、意識障害などが生じ、緊急の治療が必要になることがあります。

これらの事象は、従来、不用意にインスリン量を減らすなど、不適切な糖尿病治療に伴って起こることが知られていました。

しかし近年では、2型糖尿病や肥満症のない人が減量目的で、GLP-1 受容体作動薬(ウゴービ、オゼンピック、リベルサス、トルリシティ)や GIP/GLP-1 受容体作動薬(マンジャロ、ゼップバウンド)を使用し、脱水や低血糖とともにケトーシス、ケトアシドーシスを発症した例の報告も増えています。

同学会は、インクレチン関連薬を使用しながら過度の食事制限や急激な減量を行うことが、こうしたケトーシス関連事象の発症に関わると考えています。

正しい理解と適正使用を呼び掛け

ケトーシスでは、むかつきや吐き気、嘔吐、腹痛などが現れることがあります。これらはGLP-1受容体作動薬やGIP/GLP-1受容体作動薬の副作用としてもみられるため、薬の副作用と誤認され、対応が遅れるおそれがあります。

ステートメントでは、ケトーシス関連事象の兆候として、「普段と異なる甘酸っぱい口臭」「むかつき・吐き気や嘔吐・腹痛」「食事や水分が取れない状態」「強い全身倦怠感」などを挙げています。さらに、「意識がぼんやりする」「強い眠気がある」「呼吸が速く深い」「息苦しい」といった症状がある場合には、重症のケトアシドーシスに至っている可能性があります。

糖尿病を持たない人では、過度の食事制限や炭水化物制限とインクレチン関連薬の使用が重なり、ケトーシス関連事象が起こると考えられています。また、過度なアルコール摂取やSGLT2阻害薬との併用も、ケトーシス関連事象のリスクを高めるとされています。

同学会は、医療者と薬剤を使用する人の双方が、ケトーシスなどの健康障害を十分に認識する必要があると指摘しています。ステートメントには、急激な減量や過度の食事制限を実現・維持する手段として、これらの薬剤を用いるべきではないことも明記されています。(ひまんラボ編集部)

出典:日本肥満学会 学術情報

本記事は、2026年10月3日に日本肥満学会より発表された「安全な減量に関するステートメント―インクレチン関連薬を用いた減量によるケトーシス関連事象の注意喚起―」を元に、患者さんやダイエットを検討中の方に向けてわかりやすく要約・解説したものです。

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