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未来の健康を守るために:一歩からはじめる「運動」で変わる心臓に優しいライフスタイル

運動は肥満症治療の強いサポート役

肥満症の治療の基本は「食事」です。食事の量を減らすことで体重は減り、高血圧や高コレステロール血症、糖尿病といった肥満に関連する病気の改善も期待できます。

しかし、ここに「運動」を加えることで、より効果的に健康へ近づくことができます。今回は、この「運動」についてわかりやすく解説します。

運動を取り入れるメリット

食事に運動を組み合わせると、次のようなメリットがあります。

  • 身体の機能や生活の質(QOL)が向上する
  • 筋肉量や骨密度の低下を抑えられる
  • 減量後の体重を維持しやすくなる

特に高齢の方では、食事と運動を一緒に行うことで「フレイル(虚弱)」の予防にもつながることがわかっています。

さらに重要なのは、運動によって心臓や血管の病気を防ぎ、死亡リスクを下げる効果があることです。つまり運動は、今の肥満症だけでなく、未来の健康も守る大切な役割を果たします。

どんな運動をすれば良いの?

ここまで、肥満症に対する運動のメリットについて話をしてきました。次に、どんな運動をすれば良いのか解説していきましょう。ポイントは3つ、「有酸素運動」「1日30分以上」「毎日あるいは週150分以上」です。

「有酸素運動」とは散歩、水泳、サイクリングなどの少し息が切れる程度の運動のことを言います。具体的には体の中で酸素を使ってエネルギーを作る程度の運動のことで、それ以上の強い運動をすると、酸素を使わずにエネルギーを作り乳酸が増え筋肉が重くなり疲れる状態になります。つまり、少し息が弾む程度で「ややきつい」と感じる手前くらいが目安です。

「1日30分以上」が勧められていますが、決して無理をする必要はありません。すきま時間に運動を数回に分けて行い、合計で30分行えば良いです。「毎日あるいは週150分以上」が勧められていますが、運動する量が十分にあれば週末などにまとめて行い、週5日未満の運動でも良いです。慣れてきたら、1日に60分以上、週300分以上を目指すとさらに効果が高まります。

リラックスして楽しく運動をしましょう

最近では、「どんな気持ちで運動するか」も重要だと言われています。

仕事での肉体労働は、必ずしも健康に良いとは限らず、むしろ心臓や血管の病気のリスクを高める可能性があるとされています。

そのため、運動はできるだけリラックスした気持ちで、楽しみながら行うことが大切です。休日の軽い運動がおすすめです。

忙しくて運動ができない方へ

現代に生きる私たちにとって「運動の時間が取れない」という方も多いと思います。

そんなみなさんは、まず「座っている時間を減らす」ことから始めましょう。肥満症の方は座る時間が多く、座る時間が長いと心臓や血管の病気のリスクが高くなると言われています。立つ時間を増やす、こまめに動くなど、それだけでも立派な運動と言えます。

運動を始める前に

ここまで、運動によるメリットと具体的な運動方法についてお話を進めてきました。これから運動を始めようと思い立ったみなさんへお伝えすべきことがあります。それは、みなさんの担当の先生に私は運動していいのか、どんな運動をしたら良いのかを確認していただきたいということです。肥満症や肥満に関連する病気には運動するうえで注意すべき状態がいくつかあります。足腰、目、心臓などの内臓疾患が落ち着いた状態でないとかえってそれらの病気を悪化させる可能性があります。そういった方々は、まずは運動ができる体の準備を整えてから、ぜひとも運動に取り組んでください。

最後に

日本のガイドラインでは「+10(プラステン):今より10分多く体を動かそう」というメッセージがあります。「少しでもいいから、今より多く体を動かす」ことが、健康への第一歩です。この小さな習慣が、未来の健康を大きく変えていきます。

今回のお話でみなさんが体を動かすきっかけになれば、うれしいです。

医師プロフィール

濵 知明 先生
東京医科大学病院 循環器内科講師 / 心臓リハビリテーションセンター副センター長

濵 知明 先生

2008年福井大学医学部医学科を卒業。諏訪赤十字病院にて初期研修、内科後期研修、国立循環器病研究センター心臓血管内科、東海大学医学部付属八王子病院循環器内科を経て2025年から現職。2021年から米国メイヨークリニックへ留学し、現在は同クリニック共同研究員。循環器専門医、総合内科専門医、老年科専門医、日本リハビリテーション栄養学会理事、日本臨床運動療法学会評議員、日本腎臓リハビリテーション学会代議員等。

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