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肥満症の原因とは?生活習慣だけではない体の仕組みを解説

この記事でわかること
  1. 肥満と肥満症の違い
  2. 体質やホルモンが及ぼす影響
  3. 肥満を招く生活環境と病気の正体

肥満症というと、「食べすぎ」や「運動不足」だけが原因だと思われがちです。たしかに、食事からのエネルギーが消費を上回る状態が続けば、体脂肪は増えていきます。しかし実際には、肥満症はそれだけで説明できるものではなく、さまざまな要因が重なって起こる病気です。

では、ただの太りすぎと肥満症は何が違うのでしょうか。また、肥満症を引き起こす原因にはどのようなものがあるのでしょうか。この記事では、肥満症の原因について、科学的な根拠をもとにわかりやすく解説します。

肥満とは異なる「肥満症」

まず理解しておきたいのが、「肥満」と「肥満症」は同じではないという点です。日本では、BMIが25kg/m²以上の状態を肥満と定義します。そのうえで、2型糖尿病や脂質異常症、高血圧などの健康障害を伴う場合は「肥満症」とされ、治療の対象となります。また、腹囲などから評価される内臓脂肪の蓄積が認められる場合も、肥満症として診断されることがあります。なお、実際の診断はこれらの有無だけで決まるものではなく、体脂肪のつき方や検査結果などを含めて総合的に判断されます。

つまり、肥満は体重や体脂肪の量が多い状態を指しますが、肥満症はその状態によって健康障害が起こっている、あるいは将来的に起こるリスクが高い状態を意味します。問題になるのは体重そのものではなく、体の中で起きている変化です。同じ体重であっても、治療が必要なケースとそうでないケースがあるのはこのためです。

肥満症について詳しく知りたい方は「肥満症とは?「太っている」と「病気」の境界線と治療の必要性」の記事をご覧ください。

肥満症の原因は「意志の問題」だけではない

現在の医学では、肥満症はひとつの原因で生じるのではなく、複数の要因が重なって起こると考えられています。食事や運動といった生活習慣に加え、ホルモンの働きや遺伝的な体質、さらには生活環境などが複雑に関係しています。

そのため、「意志が弱いから太る」といった単純な説明では十分ではなく、体の仕組みを踏まえて理解することが重要です。

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肥満症の主な原因

肥満症の主な原因の説明図
Geminiで生成した画像を元に作成

エネルギー過剰に伴う脂肪の蓄積

肥満症の原因の中で、最も基本となるのは、摂取したエネルギーが消費されるエネルギーを上回る状態が続くことです。

食べる量が多く、運動量が少ない状態が続けば、余ったエネルギーは脂肪として体内に蓄えられます。

エネルギーが過剰な状態が続くと、体脂肪が増加します。そのため、肥満症の治療では、食事や運動といった生活習慣の見直しが基本となります。

ホルモンによる体重調整機能の乱れ

体重は、食欲や満腹感、エネルギーの消費といった働きを担うホルモンによって調整されています。体内のホルモンのバランスが崩れると、食欲が強くなったり、満腹を感じにくくなったりすることがあります。また、ホルモンの影響でエネルギーを消費しにくい状態になると、同じ量を食べていても体重が増えやすくなることがあります。

このような変化は自覚しにくく、意識して生活していても体重が増えてしまう要因になります。

内臓脂肪の蓄積

内臓脂肪の量は、肥満症に影響を及ぼします。脂肪には、皮膚の下につく「皮下脂肪」と、内臓のまわりにつく「内臓脂肪」があります。内臓脂肪はお腹の奥に蓄積するため、増えると腹囲が大きくなりやすいのが特徴です。

内臓脂肪は、単に蓄積するだけでなく、蓄えられた脂肪を分解して血液中に放出しやすい性質があります。そのため、血液中の脂肪が増えやすくなり、体の代謝に影響を与えると考えられています。

さらに、体内にさまざまな物質を分泌する働きもあり、増えすぎると慢性的な炎症が起こりやすくなります。この炎症は血糖降下作用のあるインスリンの働きを低下させ、血糖値の上昇につながる可能性があります。

また、脂質のバランスにも影響を与え、中性脂肪の増加や善玉コレステロールの低下を引き起こすことが知られています。

このように、内臓脂肪の蓄積は肥満症の発症に深く関わる重要な要因のひとつです。

つまり、同じ体重やBMIであっても、内臓脂肪の量によって肥満症のリスクは大きく異なります。

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内臓脂肪型肥満とは?診断基準やリスク、落としやすい改善法を解説

遺伝や体質による違い

同じような生活をしていても太りやすい人とそうでない人がいるように、肥満症の原因には遺伝や体質の違いが関係しています。体重の増えやすさや脂肪のつき方には個人差があり、その一部には生まれつきの要因が関わることが知られています。

研究によっては、体重の個人差の一部が遺伝によって説明されるとする報告もありますが、その影響の大きさは年齢や生活環境によっても変わると考えられています。

また、食欲や満腹感、エネルギー消費を調整するホルモンの働きや、内臓脂肪のつきやすさにも個人差があります。これらの違いが重なることで、同じ生活習慣であっても体重や脂肪のつき方に差が生じることがあります。

肥満と遺伝の関係について詳しく知りたい方は「肥満と遺伝の真実|日本人に多い3タイプ別・効率的に痩せる攻略法」の記事も合わせてご覧ください。

生活環境が肥満症に与える影響

肥満症には体質やホルモンだけでなく、日々の生活環境も大きく影響します。ここでは、肥満症の原因に繋がる生活環境について説明します。

生活環境が肥満症に与える影響の説明図
Geminiで生成した画像を元に作成

高カロリー食品と運動量の減少

現代社会では、安くて美味しい高カロリーの食品が手に入りやすく、特別に意識しなくてもエネルギーを摂りすぎてしまう状況が生まれています。

また、仕事や移動の多くが機械化・効率化されたことで、日常生活の中で体を動かす機会は減少しています。その結果、摂取エネルギーが消費エネルギーを上回りやすい環境が、自然とできあがっています。

実際に、厚生労働省が実施した令和6年の「国民健康・栄養調査」によると、日本人の野菜の平均摂取量は258.7gであり、目標とされる1日350gに届いていない状況が報告されています。また、運動習慣のある人の割合は34.6%にとどまり、特に30~40歳代ではその割合が低いことが報告されています。

こうした傾向も、肥満症の背景として無視できません。

睡眠不足とストレスの影響

睡眠不足やストレスは、食欲をコントロールするホルモンのバランスを崩すことが知られています。

睡眠が不足すると、空腹を感じやすくするホルモンが増え、満腹感を得にくくするホルモンが減少します。寝不足のときに甘いものや脂っこいものが欲しくなるのは、意志の問題というよりも、体の仕組みによる影響と考えられています。

また、肥満に伴って睡眠時無呼吸症候群などがみられる場合には、睡眠の質が低下し、食欲や代謝への影響が強まることもあります。

さらに、ストレスが続くと食欲が高まり、過食につながることがあります。ホルモンの働きによって内臓脂肪が蓄積しやすくなることも知られており、これも肥満症の一因です。

薬や病気の関与

肥満症の原因には、別の病気や薬の影響が関係している場合もあります。

例えば、高血圧の治療薬やステロイド、一部のアレルギー薬、精神的な不調に対する薬などは、副作用として体重増加を引き起こすことがあります。

また、ストレスの影響だけでなく、甲状腺機能低下症やクッシング症候群など、ホルモンバランスに関わる内分泌疾患などが隠れているケースもあります。

そのため、「生活習慣を見直しても改善しない」と感じる場合には、体の中に別の原因がないかを確認することも重要です。

まとめ:肥満症は「単純な原因」で起こるわけではない

肥満症の原因は単なる「食べすぎ」ではなく、エネルギー量やホルモンバランス、遺伝・体質など、さまざまな要素が関与しています。食事・運動・睡眠といった基本の生活習慣の乱れは、肥満症になりやすい体を作る原因のひとつですが、病気や薬の服用が体重増加の原因となることもあります。

なぜ体重が増えやすい状態になっているのかを理解することが、適切な対策や治療への第一歩です。

肥満症は放置すると、糖尿病や高血圧、脂質異常症、心血管疾患などのリスクを高めることが知られています。一方で、原因を正しく理解し、必要に応じて医療的なサポートを受ければ、改善を目指すことができる病気でもあります。

まずは、「自分の努力だけの問題ではない」という前提で、自分の体にどのような要因が関係しているのかを知ることが、肥満症と向き合う第一歩になります。

参考資料

監修

さい内科・消化器内科クリニック

崔 静姫 先生

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