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糖尿病の高齢者におけるSGLT2阻害薬、筋トレ+タンパク質摂取で安全に使える可能性

POINT
  1. 筋トレ+タンパク質摂取を行っている65歳以上の2型糖尿病患者さんを対象に、SGLT2阻害薬の影響を調べた
  2. SGLT2阻害薬を1年間使っても、筋肉量・筋力・身体機能の低下はみられなかった
  3. 血糖値は改善し、体重も適度に減少、重い副作用は認められなかった

高齢の糖尿病患者さんにとって大きな課題「筋肉を減らさない治療」

京都大学医学部附属病院は2026年1月29日、サルコペニア予防に有効とされるタンパク質摂取と筋力トレーニング(レジスタンス運動)を実践している2型のダイアベティス(糖尿病)をもつ日本人高齢者において、SGLT2阻害薬「ルセオグリフロジン」の長期的な有効性と安全性を検証した結果を発表しました。この研究は、京都大学、岐阜大学、関西電力医学研究所、久留米大学などの研究グループ(BALLAST Study Group)によるものです。

日本は世界でも例を見ないスピードで高齢化が進んでおり、ダイアベティス(糖尿病)をもつ高齢者が急増しています。ダイアベティスをもつ高齢者では、血糖値を適切に管理して合併症を防ぐことに加えて、加齢に伴って起こりやすい「サルコペニア(筋肉量の減少や筋力・身体機能の低下)」を予防・管理することが大きな課題となっています。そのため、高齢の糖尿病患者には、十分なエネルギー摂取、特にタンパク質をしっかり取ることや、筋力を保つための筋肉トレーニング(レジスタンス運動)が重要です。

2型のダイアベティスに対する治療薬であるSGLT2阻害薬は、血糖値を下げるだけでなく体重も減らし、さらに心不全や慢性腎臓病の予防につながる効果が報告されており、日本でも使用が広がっています。一方で、体重が減る際に脂肪だけでなく筋肉まで減ってしまい、サルコペニアを悪化させるのではないかという懸念が指摘されてきました。そこで、BALLAST Study Groupは、サルコペニア予防として推奨される「タンパク質摂取」と「レジスタンス運動」を行っている2型のダイアベティスをもつ高齢者にSGLT2阻害薬を使用した場合、血糖改善や減量の効果が十分に得られるか、また筋肉量や筋力、身体機能に悪影響が出ないかを調べるため、52週間にわたる多施設共同の臨床試験を実施しました。

筋トレとタンパク質摂取を続けた上で、SGLT2阻害薬を1年間検証

この研究では、2型のダイアベティスをもつ65歳以上の日本人高齢者を対象に、SGLT2阻害薬「ルセオグリフロジン」を52週間服用する群(ルセオグリフロジン群)と、服用しない群(コントロール群)に分けて比較しました。主な評価項目として血糖コントロールの指標であるHbA1cの変化を調べるとともに、体重や体組成(脂肪量・筋肉量など)、握力、身体機能(5回椅子立ち上がりに要する時間)を検討しました。

全ての参加者は、筋肉量や筋力を保つために十分なエネルギー、特にタンパク質をしっかり取るよう管理栄養士による栄養指導を受けました。また、ロイシンを多く含むアミノ酸サプリメント(アミノエール(R)、味の素株式会社)を毎日摂取しました。さらに、自宅で安全に続けられる筋力トレーニングとして、日本糖尿病協会(JADEC)が企画・制作している「運動療法のすすめ」という動画を見ながら筋肉トレーニングを行いました。栄養摂取状況は食事摂取頻度調査票を用いて定期的に確認されるとともに、サプリメント摂取、運動の実施状況は日誌で確認されました。

血糖値は改善・筋肉は維持、重大な副作用は確認されず

その結果、ルセオグリフロジン群では、HbA1cがコントロール群より平均0.36%改善しました。また、体重も平均1.15kg減少しました。一方、SMI(骨格筋量指数)、握力、5回椅子立ち上がり試験は両群で差はなく、筋量や筋力、身体機能の低下は認められませんでした。さらに、重い低血糖や脱水、ケトアシドーシスなどの重大な副作用もみられませんでした。

今回の研究から、サルコペニアを防ぐために推奨される十分なエネルギー摂取、特にタンパク質摂取とレジスタンス運動を実践しているダイアベティスをもつ高齢者では、SGLT2阻害薬を使用しても筋肉量や筋力、身体機能を損なうことなく、安全に血糖値の改善や体重減少の効果が得られることが示されました。

実際には栄養状態や筋力の変化に気を付けながら慎重に使用

ただし、今回の研究の対象は、サルコペニアや認知症をもたない比較的健康な高齢者に限られていたため、既にサルコペニアやフレイルを発症している人でも同じように安全であるかどうかは、現時点では明らかではありません。今後、こうした対象を含めて、筋肉量や身体機能への影響を主要な評価項目とした、より大規模で長期間の研究が必要であることを、研究グループは指摘しています。「SGLT2阻害薬が効果を発揮するとされる心不全や慢性腎臓病をもつ人では、サルコペニアを発症している人が多く含まれます。したがって、実際の医療現場では引き続き、栄養状態や筋力の変化に十分注意しながら慎重に使用することが重要です」と、研究グループは述べています。(ひまんラボ編集部)

出典:京都大学医学部附属病院 プレスリリース
https://www.kuhp.kyoto-u.ac.jp/press/20260129.html

本記事は、2026年1月29日に京都大学医学部附属病院より発表されたプレスリリース「ダイアベティス(糖尿病)をもつ高齢者におけるSGLT2阻害薬の有効性と安全性― 十分なたんぱく質摂取と筋肉トレーニングで筋肉量を維持しながら安全に血糖改善 ―」を元に、患者さんやダイエットを検討中の方に向けてわかりやすく要約・解説したものです。

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