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【体験談】「肥満症」治験で体重約25kg減、その後のリバウンドで得た考え方

「仕事が忙しくて、自分の健康管理は後回しになってしまう」責任ある立場で働く人ほど、こうしたジレンマを抱えているのではないでしょうか。肥満症は単なる“太り気味”ではなく、適切な治療が必要な疾患です。しかし、多忙な日常の中で通院や食事管理を続けるのは決して簡単なことではありません。

今回お話を伺ったKさんは、医療現場を支える多忙なビジネスパーソンです。体重が約100kgに達し、脂質異常症などを抱えていたKさんは一つの選択をしました。それが、肥満症治療薬の「治験」への参加です。約3か月で約25kgの減量を経験したものの、その後、リバウンドも経験したKさん。治験への参加を通じて得た考え方、また、現在の治療などについて詳しくお伺いしました。

※記事の内容は個人の体験であり、全ての方に該当するものではありません。(取材日:2026年4月24日)
※本記事は、特定の疾患(肥満症)を対象とした治験(臨床研究)の参加体験談です。治験は、薬の安全性や有効性を確認するための研究として実施されるものです。
※記事内で使用されている薬剤(治験薬)は、治験当時、国内では未承認の医薬品です。

プロフィール

名前:Kさん
年代:40代(治験参加時:30代)
性別:男性
身長:178cm、治療前体重:96.0kg・治療後体重:72.4kg
BMI 治験前:30.30・治験後:22.85 
肥満症に関連する健康状態 :脂質異常症、高尿酸血症、高血圧

体重96kgで脂質異常症・痛風・高血圧…「治験」という選択へ

――治験に参加される前の状況を教えてください。

学生時代(20代前半)の体重は70kg台でしたが、当時(30代後半)の私は体重が96kgまで増えていました。体に対して明らかに過剰な負荷がかかっており、健康診断で脂質異常症・高尿酸血症・高血圧も指摘されていました。特に尿酸値はかなり高く、足にピリピリとした違和感を覚えるたびに、「また痛風の症状が現れるのではないか」といつもビクビクしていました

また、仕事が多忙な時期でもありました。当時から責任のある立場だったこともあり、徹夜で仕事をするという日も決して珍しくありませんでした。このような状況ですから、食事は不規則になりがちでしたし、夜の会食の頻度も多かったです。元々、食べることは好きなのでよく食べるほうですし、早食いの傾向もあると思います。

――そんな中、なぜ「治験」を選んだのでしょうか?

私自身、学生時代、健康な成人向けの治験(第1相臨床試験・フェーズ1)に参加した経験があったことから、治験に対する心理的なハードルは高くありませんでした。肥満症に対する治験開始を『生活向上Web(https://www.seikatsu-kojo.jp/)』で知り、興味を持って応募し、参加することとなりました。

――治験はどのように進んだんですか?

まず病院で、医師と治験コーディネーターから治験の内容について詳しい説明を受け、同意取得が行われました。具体的には、治験薬の特徴や期待される効果、通院スケジュール、どのような副作用が起こり得るかなどについて、一通り説明を受けました。

説明を受けた時は、「1年間でこんなに通院回数があるんだな」という印象を持ちました。また、副作用についてもかなり丁寧に説明を受けましたが、その時の私は「そこまで強い副作用は出ないだろう」と、どこか軽く考えていた部分もあったと思います。

通院は、開始からしばらくの間は毎週あり、その後は1〜2か月に1回程度になっていきました。薬は段階的に増量していく形で、最初の3か月は特に頻繁に通院していましたね。

通院時には毎回、身体測定(身長・体重・腹囲)や血液検査を受け、治験の開始時と終了時には腹部画像検査も受けました。拘束時間は、最初の受診時は2時間程度かかりましたが、その後は待ち時間を含めても1時間程度で、感覚としては通常の通院に近かったです。治験薬は院内処方で、自宅で自己注射を行っていました。

私が参加した治験では、見た目は治験薬と同じで有効成分が入っていない偽薬を使用するグループ(プラセボ群)と、使用する治験薬の有効成分が入ったグループとに分かれていました。どのグループに割り当てられるかは、治験中は私自身にも、医師にも知らされませんでした。治験終了後に担当の医師から、私は、治験薬の有効成分が入ったグループだったと教えてもらいました。

肥満症の治験に参加して感じた「良い変化」と「負担」の実際

――どのような点に「参加して良かった」と感じましたか?

一番良かったと感じたのは、目に見える体の変化と数値の改善です。私の場合は、約3か月で体重が96kgから72kgまでに減少しました。痩せたことで、体の調子が良いと感じることも多くなりました。体重が多かった時に比べると、疲れにくくなったと感じます。体重が落ちたことで、一般的なサイズのスーツが着られるようになったのもうれしかったです。また、驚くべきことに血液検査の数値が正常になりました。

さらに意外だったのは、経済的なメリットです。食事や飲酒の量が減って、食費が月に1万円程度は減りました。その他、治験なので治験薬に関わる費用負担がなかったこともありがたかったです。

――一方で、治験参加中に負担に感じたのはどのような点でしたか?

私の場合は、薬の「副作用」で苦労しました。もちろん、治験参加にあたって副作用の説明は受けていたのですが、「自分はきっと大丈夫だろう」と思い、あまり気にしていなかったんです。 薬の投与が始まってからは、炭水化物を食べにくくなりました。それまで好きだったビールやラーメンも、治験参加中は体が受け付けなくなりました。

最初は、「これは副作用というよりも薬の作用によるものなのかな」と思っていました。しかし、薬の投与を続けるうちに強い吐き気が現れるようになったんです。食事をすると気分が悪くなり、夜の会食などへの参加も多かったのですが、家に帰るとこれまでにない強い吐き気が現れることもありました。ただ、次第に、食事内容によって体調に影響が出ることがわかり、調整できるようになりました。

また、自己注射も負担に感じました。1週間に1回の皮下注射でしたが、毎回「痛いな、嫌だな」と感じて、なかなか慣れませんでしたね。

しかし、治験参加中は、副作用に関しても手厚いサポートを受けられ、また、いつでもやめられると説明を受けていたため、不安はありませんでした。

治験中に起きた食生活の変化と周りからの反応

――治験が始まってから、食生活はどのように変わりましたか?

治験に参加する前に糖質制限ダイエットをしてたことがありますが、その時は「食べたい…でも、我慢しなきゃ」と常に葛藤していました。しかし、治験に参加している時は、薬の作用により自然と食欲が抑えられ、結果として食事量が減っている感覚がありました。大好きだったラーメンなどの炭水化物を目の前にしても、むしろ気持ち悪くなるような感覚です。家族と一緒に食事するときも、炭水化物は抜いてもらっていました。例えば定食メニューの時は、みんなと同じおかずは食べるけど、自分だけ炭水化物の白米は食べない、といった形です。このように、自分が食べられるものだけ選んで食べるようにして、みんなと一緒に食事していました。

大好きだったビールも飲みたいと思わなくなり、代わりに、基本的に炭水化物を含まないハイボールに変えましたし、酒量も減りました。無理に食事を我慢しているのではなく、自然と「いらない」と思うような状態でしたね。

――体重の変化について、周りの方々からはどのような反応がありましたか?

約3か月で体重が約25kg減少したので、周りの人たちからの反響は大きかったと思います。特にしばらく会っていない人からは「病気になったの?大丈夫?」と心配されることもありました。それだけ外見が急激に変化していたということだと思いますね。

治験終了後の「リバウンド」で気づいたこと

――治験が終了した後、体重はどのように推移しましたか?

これは自分も反省すべき部分があったと思うのですが、約3年かけて、元の体重に戻ってしまいました

治験終了時、体重が70kg台まで落ちていたことで「もうこのまま太らないだろう」と安易に考えてしまったんですね。治験が終わった解放感もあって、「ラーメンを食べに行きたい」「食べ放題にも行ってみよう」と思うようになり、少しずつ食欲が戻っていきました。食べる量が元に戻ったことで、徐々に体重が増えていきました。

さらに、追い打ちをかけたのが運動不足です。コロナ禍をきっかけに在宅勤務になり、出社していた時よりも歩く時間が減った結果、最終的には100kgを超えていました。

――リバウンドを経験して、気づいたことはありますか?

私の場合は、治験で体重が減った際、脂肪だけでなく筋肉も大幅に落ちてしまったようです。元々は筋肉質だったのですが、リバウンドで戻ったのは脂肪だけでした。見た目は以前と同じ約100kgでも、筋肉が落ちた状態で、脂肪が増えた体になってしまったんです。

「がっしり系のデブから、ぽっちゃり系のデブ」になってしまった…これは本当に後悔しました。運動習慣をもっと生活に取り入れることが大切だったと感じました

意識して運動習慣を取り入れるように

――リバウンドの経験を経て、今はどのような考え方になりましたか?

今は再び医師に相談し、肥満症治療薬による治療を受けながら生活しています。しかし、治験の時とは意識が根本から変わりました。「薬だけに頼る考え方はやめよう」というのが、リバウンドを経験した私なりの教訓です。薬の治療を正しく受けながら、生活習慣も同時に変えていくことが、長い目で見て大切なのではないかと考えています。

――具体的には、どのような生活習慣を心がけていますか?

現在は薬の治療を受けるだけでなく、日常生活の中で体を動かす時間をつくるように心がけています。平日は忙しくなかなか運動ができませんが、登山が好きなので、週末など時間がある時に山へ出かけて体を動かすようにしています。

治験中は「生活環境を変えないでください」と言われていたこともあり、運動をしていませんでした。でも今は、筋肉量を維持するために適度な運動を取り入れています。

治験は肥満症治療のきっかけの1つ、健康な体型維持は自分の行動次第

――今、肥満症の治験参加を検討している方へメッセージをお願いします。

大前提として、治験は、新しい治療法の有効性や安全性を確認するための研究の一つです。結果として治療のきっかけになる場合もありますが、参加には条件や制限があり、慎重な検討が必要です。心配なことは、治験担当の医師や治験コーディネーターなどに相談して、必要な情報を得てください。

私にとって治験は、医療の力で「こういう痩せ方があるんだ」と身をもって理解できた経験でした。治験を知らなかったという方は、一つの情報として知っていただきたいと思います。ただ、健康な体型を維持するのは自分の行動次第だと思います。そのことを理解した上で、治験という制度について理解を深めるきっかけとして参考にしていただければと思います。

(編集後記)

治験参加により、約3か月で約25kgの減量を経験したものの、その後、リバウンドも経験したKさん。しかし、この経験を通じて、Kさんは「薬による治療だけでなく、生活習慣も改善する」という考え方を得ることができました。多忙なビジネスパーソンが生活習慣を変えることは、決して簡単なことではありません。Kさんのように、山登りなど自分に合った方法を取り入れることは、生活習慣を見直す際の参考になるかもしれません。Kさんの経験が「治験」について理解するための参考情報となれば幸いです。治験のことで気になることがあれば、医師に相談してみましょう。(ひまんラボ編集部)

治験とは:新しい薬や治療法について、効果や安全性を確認するために行われる臨床試験のことです。患者さんなどに協力してもらい、国の承認を受ける前に、実際に薬を使用して有効性や副作用などを詳しく調べます。治験の内容によっては、本物の薬ではなく「プラセボ(見た目は同じで有効成分を含まない薬)」を使用するグループに割り当てられる場合もあります。

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