【ご注意】本記事で紹介する薬剤は、2026年9月現在、臨床試験が進められている開発段階の薬剤です。今後の試験結果などによって変更される可能性があります。
- マリタイドの特徴
- 臨床試験で確認された効果
- 副作用と開発状況
マリタイド(MariTide)とは
マリタイド(MariTide、マリデバート カフラグルチド)は、アムジェンが肥満症や2型糖尿病の治療薬候補として開発している抗体ペプチド複合体です。GLP-1受容体を活性化する作用と、GIP受容体の働きを阻害する作用をあわせ持っています。
体内に長くとどまるよう設計されており、月1回またはそれより少ない頻度で皮下注射する薬剤として開発されています。
| 一般名 | マリデバート カフラグルチド |
| 開発名称 | マリタイド |
| 商品名 | 未定 |
| 治験薬コード | AMG 133 |
| 一般名英語表記 | Maridebart cafraglutide |
| 開発名称英語表記 | MariTide |
| 商品名英語表記 | 未定 |
| 種類 | GLP-1受容体作動・GIP受容体拮抗作用を持つ抗体ペプチド複合体 |
| 投与方法 | 皮下注射(月1回以下) |
マリタイドの作用の仕組み
マリタイドは、GLP-1受容体を活性化する作用と、GIP受容体の働きを阻害する作用をあわせ持つ薬剤です。
前臨床試験では、GLP-1の経路を活性化し、GIPの経路を阻害することで、いずれか一方のみを標的とする場合よりも、強い体重減少作用が確認されています。
マリタイドの臨床試験対象と結果
肥満または過体重の成人592人を対象とするフェーズ2試験で、マリタイドの有効性と安全性が評価されました。参加者は、2型糖尿病のない465人と、2型糖尿病のある127人の2つのグループに分けられました。
2型糖尿病のないグループでは、52週時点で最大約20%の平均体重減少が確認されました。2型糖尿病のあるグループでは最大約17%の平均体重減少が確認され、HbA1cは最大2.2ポイント低下しました。
いずれのグループでも、52週時点では体重減少が頭打ちになる傾向は認められませんでした。
正式な適応条件は承認時に確定します。
マリタイドの投与方法
マリタイドは、皮下注射で投与する薬剤として開発されています。
フェーズ2試験では、140mg、280mg、420mgの固定用量を月1回投与する方法が検討されました。2型糖尿病のない参加者では、このほか420mgを8週ごとに投与する方法や、段階的に用量を増やして420mgまで投与する方法も検討されました。
アムジェンは、将来的な投与方法として、月1回またはそれより少ない頻度で使用するオートインジェクターを想定しています。
正式な用法・用量は承認時に確定します。
マリタイドの副作用・有害事象
フェーズ2試験で多く報告された有害事象は、悪心、嘔吐、便秘などの消化器症状でした。
悪心と嘔吐は主に軽度で一時的なもので、主として初回投与に関連して認められました。また、用量を段階的に増やした群では、悪心と嘔吐の発現率が低下しました。
マリタイドの開発・承認状況
マリタイドは開発中の薬剤であり、まだ承認されていません。
マリタイドについて、「MARITIME」と呼ばれるフェーズ3の臨床開発プログラムが進行中です。MARITIME-1は肥満または過体重の人、MARITIME-2は2型糖尿病があり、肥満または過体重の人を対象とした試験です。
このほか、心血管疾患、心不全、閉塞性睡眠時無呼吸を対象とするフェーズ3試験も進められています。
日本では、アムジェン株式会社による国内治験が登録されています。対象となる疾患や募集状況などは試験ごとに異なります。
まとめ
マリタイドは、GLP-1受容体を活性化するとともに、GIP受容体の働きを阻害する抗体ペプチド複合体です。月1回またはそれより少ない頻度での皮下注射を想定して開発されています。
最新状況や承認時期については、公式の発表をご確認ください。
参考資料
- Amgen「AMGEN ANNOUNCES ROBUST WEIGHT LOSS WITH MARITIDE IN PEOPLE LIVING WITH OBESITY OR OVERWEIGHT AT 52 WEEKS IN A PHASE 2 STUDY」「Clinical Trials for Weight Management and Obesity‑Related Conditions」
- 厚生労働省「臨床研究情報ポータルサイト(jRCT)」
- 米国国立医学図書館 「Clinicaltrials.gov(CT)」
プロフィール
可知 健太 さん
整形外科領域、肝疾患領域、がん領域の臨床開発に携わった後、3Hメディソリューション株式会社にて、2015年にがん情報サイト「オンコロ」、2018年に希少疾患情報サイト「レアズ」を立ち上げ、運営責任者を務める。2025年より株式会社QLife代表取締役に就任。2026年より「ひまんラボ」の運営責任を担う。理学修士。