【ご注意】本記事で紹介する薬剤は、2026年6月現在、臨床試験が進められている開発段階の薬剤です。今後の試験結果などによって変更される可能性があります。
- レタトルチドの作用機序
- 臨床試験で確認された効果
- 副作用と開発状況
レタトルチドとは
| 一般名 | レタトルチド |
| 商品名 | 未定 |
| 治験薬コード | LY3437943 |
| 一般名英語表記 | retatrutide |
| 商品名英語表記 | 未定 |
| 種類 | GLP-1/GIP/グルカゴン受容体作動薬 |
| 投与方法 | 皮下注射(週1回) |
レタトルチドは、イーライリリー(Eli Lilly and Company)が開発中の週1回皮下注射の肥満症治療薬候補です。開発コードはLY3437943で、GLP-1受容体・GIP受容体・グルカゴン受容体の3つに同時に作用する「トリプルアゴニスト」です。
これまでの肥満症治療薬がGLP-1単剤(ウゴービ)またはGLP-1/GIPデュアルアゴニスト(ゼップバウンド)であったのに対し、レタトルチドはさらにグルカゴン受容体への作用を加えることで、作用の増強を目指して開発されています。
レタトルチドの減量効果(臨床試験での結果)
フェーズ3試験でその有効性が検証されています。
TRIUMPH-1(80週)では、約半数の参加者で、30%以上の体重減少がみられました。
レタトルチドの作用の仕組み
GLP-1受容体への作用は食欲抑制とインスリン分泌促進をもたらします。GIP受容体への作用はGLP-1の効果を増強し、グルカゴン受容体への作用はエネルギー消費量を増大させます。この3つの受容体への作用が、同剤の特徴と考えられています。
レタトルチドの投与対象
フェーズ3では、肥満または1つ以上の関連疾患を伴う過体重の成人を対象としています。正式な適応条件は承認時に確定します。
レタトルチドの投与方法
フェーズ3試験では、2mgから開始し最大12mgまで段階的に増量するプロトコルが採用されています。週1回、皮下注射で投与され、低用量から段階的に増量し、治療用量まで到達します。正式な用法・用量は承認時に確定します。
レタトルチドの副作用・有害事象
副作用・有害事象として消化器症状(悪心、下痢、嘔吐、便秘など)、感染症(上気道、尿路)が報告されています。また、皮膚の異常感覚・チクチク感も認められました。
レタトルチドの開発・承認状況
米国
複数のフェーズ3試験が報告されています。まだ承認はされていません。
日本
日本でも同剤についての臨床試験が登録されています(2026年6月時点)。まだ承認はされていません。
まとめ
レタトルチドは、GLP-1・GIP・グルカゴン受容体への三重作用という新しい機序により体重減少効果が期待される次世代肥満症治療薬候補です。日本における最新状況や承認時期については、公式の発表をご確認ください。
参考資料
- Eli Lilly and Company「Lilly’s triple agonist, retatrutide, delivered powerful weight loss in pivotal Phase 3 obesity trial」「Lilly’s triple agonist, retatrutide, delivered weight loss of up to an average of 71.2 lbs along with substantial relief from osteoarthritis pain in first successful Phase 3 trial」
- 厚生労働省「臨床研究情報ポータルサイト(jRCT)」
プロフィール
可知 健太 さん
整形外科領域、肝疾患領域、がん領域の臨床開発に携わった後、3Hメディソリューション株式会社にて、2015年にがん情報サイト「オンコロ」、2018年に希少疾患情報サイト「レアズ」を立ち上げ、運営責任者を務める。2025年より株式会社QLife代表取締役に就任。2026年より「ひまんラボ」の運営責任を担う。理学修士。