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グルテンフリーで痩せるの?減量との関係や注意点を解説

「グルテンフリーにすると痩せる」「小麦を控えると体調が良くなる」といった情報を目にしたことはありませんか。

グルテンフリー食は、小麦などに含まれる「グルテン」を避ける食事法です。もともとはセリアック病などの治療に用いられており、グルテンを避けること自体に減量効果があるという十分な科学的根拠はありません。

この記事では、グルテンフリー食の特徴や、減量・健康への影響について現在わかっていることを解説します。糖質制限との違いや、グルテンフリー食を取り入れる際の注意点も紹介します。

この記事でわかること
  1. グルテンフリー食と減量の関係
  2. グルテンフリー食の健康への影響
  3. グルテン関連疾患と食事の注意点

グルテンフリー食とは

グルテンフリー食とは、グルテンを含む食品を避ける食事法です。まずは、グルテンの特徴や、どのような目的で用いられる食事法なのかを確認しましょう。

グルテンフリー食と糖質制限の違い
Geminiで生成した画像を元に作成

グルテンは小麦などに含まれるタンパク質

グルテンは、小麦粉に水を加えて練ることで、グリアジンとグルテニンというタンパク質から形成される成分です。粘り気や弾力性があり、パンのふっくらとした食感や、うどんのコシなどを生み出す働きがあります。

グルテンを含む食品には、一般的な小麦粉を使ったパン、パスタ、うどん、ラーメン、ケーキ、クッキーなどがあります。また、カレールーや調味料などの加工食品にも、小麦由来の原材料が使われている場合があります。

グルテンフリー食では、小麦に加えて、大麦やライ麦などに含まれる類似のタンパク質も避けます。

一方、米、トウモロコシ、キヌア、そばなどは、もともとグルテンを含まない食品です。ただし、そばには小麦粉を混ぜた製品もあり、加工・調理の過程でグルテンが混入する場合もあります。

グルテンフリー食は、もともと特定の病気のための食事療法

グルテンフリー食は、もともと「セリアック病」という病気の治療のために用いられてきた食事法です。

セリアック病は、グルテンの摂取をきっかけに免疫反応が起こり、小腸の粘膜が障害される病気です。グルテンフリー食は、セリアック病の基本的な治療法となっています。

その後、グルテンフリー食は、減量や健康管理を目的とする人々の間でも注目されるようになりました。しかし、病気の治療としての役割と、減量や健康増進を目的とした効果は、区別して考える必要があります。

グルテンフリー食と糖質制限の違い

グルテンフリー食と糖質制限は、制限する対象が異なります。

糖質制限は、パンや麺類、米、イモ類などに含まれる糖質を含め、食事全体から取る糖質の量を減らす方法です。

一方、グルテンフリー食では、特定のタンパク質であるグルテンを避けます。米や米粉、イモ類など、グルテンを含まない食品は、基本的に除去の対象になりません。

このため、グルテンフリー食だからといって、糖質の摂取量が少なくなるとは限りません。

グルテンフリー食で痩せるの?

グルテンフリー食は、減量を目的として取り入れられることもあります。しかし、グルテンを避けること自体が体重の減少につながるかどうかについては、十分な科学的根拠がありません。

グルテンを避けること自体の減量効果は確立されていない

2023年に発表されたシステマティックレビュー・メタ解析では、セリアック病のある人とない人を含む27件の研究を分析し、グルテンフリー食と体重などの関係を検討しました。

その結果、全体として体重、BMI、腹囲、体脂肪率に統計学的に有意な変化は認められませんでした。

また、米国国立糖尿病・消化器病・腎疾病研究所(NIDDK)も、一般の人において、グルテンフリー食が減量や健康改善につながるという科学的な根拠は見つかっていないとしています。

食事内容の変化によって体重が減る場合はある

一方で、グルテンフリー食に切り替えたことで体重が減る場合も考えられます。

例えば、それまで頻繁に食べていた菓子パンやケーキなどを控えることで、食事全体の摂取エネルギー量が減少すれば、体重が減る可能性があります。また、食品の原材料や栄養成分を確認するようになり、間食の量や食事内容が変化することもあるでしょう。

ただし、こうした体重の変化は、グルテンを除去したこと自体ではなく、摂取エネルギー量や食生活の変化が影響している可能性があります。

グルテンフリー食は健康にどんな影響があるの?

グルテンフリー食については、減量以外にも肌の状態や腸内環境、血糖値などへの影響が注目されています。ただし、これらの影響についても、研究結果を慎重に捉える必要があります。

肌荒れの改善効果は?

一般的な肌荒れやニキビに対して、グルテンフリー食が有効であるという十分な科学的根拠はありません。

グルテンが関連するとされる一部の皮膚疾患では、グルテンフリー食による症状の改善が報告されています。ただし、こうした特定の病気における効果が、一般的な肌荒れにも当てはまるわけではありません。

腸内環境への影響は?

グルテンの摂取量を変えることで、腸内細菌の構成が変化するという報告があります。

デンマークで行われた健康な成人60人を対象とした研究では、低グルテン食(1日2g)と高グルテン食(1日18g)を比較しました。その結果、低グルテン食によって腸内細菌の構成が変化し、腹部膨満感が軽減したとされます。ただし、こうした変化にはグルテン自体よりも、食事に含まれる食物繊維の種類が変わったことが関係している可能性が指摘されています。

また、腸内細菌の構成が変化することが、必ずしも健康改善を意味するわけではありません。グルテンフリー食が腸内環境にどのような影響を及ぼすかについては、さらに研究が必要です。

血糖値や代謝への影響は?

グルテンフリー食が、血糖値や血中脂質などに与える影響についても研究が行われています。しかし、現時点では、グルテンを避けること自体が血糖値や脂質代謝の改善につながるという十分な科学的根拠はありません。

グルテンフリー食が必要になる病気

グルテンや小麦に関連する特定の病気では、原因となる食品を避けることが治療や症状の管理に重要です。ただし、病気によって原因や必要な食事制限は異なります。

セリアック病

セリアック病は、グルテンの摂取によって免疫反応が起こり、小腸の粘膜が障害される自己免疫性の病気です。下痢、腹部膨満感、腹痛などの症状が現れることがあり、栄養の吸収が妨げられる場合もあります。

セリアック病では、グルテンフリー食を継続することが基本的な治療となります。腸の状態が改善して栄養を吸収できるようになることで、体重が増加する場合もあります。

小麦アレルギー

小麦アレルギーは、小麦に含まれるタンパク質に対してアレルギー反応が起こる病気です。症状には、じんましん、腹痛、呼吸困難などがあり、重い場合にはアナフィラキシーを起こすこともあります。

小麦アレルギーでは、原因となる小麦タンパク質を避ける必要がありますが、原因となる成分は人によって異なります。グルテンフリー食と小麦アレルギーに対応した食事は、必ずしも同じではありません。

非セリアックグルテン過敏症

非セリアックグルテン過敏症(NCGS)は、セリアック病や小麦アレルギーではないものの、小麦などを含む食品の摂取によって腹痛や腹部膨満感などの症状が現れる状態を指します。「グルテン過敏症」とも呼ばれます。

ただし、症状の原因には、グルテン以外の小麦に含まれる成分が関係している可能性も指摘されています。診断では、セリアック病や小麦アレルギーなどを除外し、食事と症状の関係を確認しながら慎重に評価します。

グルテンフリー食を取り入れる際の注意点

グルテンフリー食は、食品の選び方によって栄養バランスや食費などにも影響します。また、病気の診断との関係で注意すべき点もあります。

グルテンフリー食の注意点
Geminiで生成した画像を元に作成

グルテンフリー食で選ばれる食品

グルテンフリー食では、小麦、大麦、ライ麦などを含む食品を避け、代わりにグルテンを含まない食品を利用します。

例えば、米、トウモロコシ、キヌア、そば(十割そば)などは、もともとグルテンを含まない食品です。野菜、果物、豆類、肉、魚、卵、牛乳なども、原材料そのものにはグルテンが含まれていません。

一方、加工食品では、調味料や衣などに小麦由来の原材料が使われている場合があります。また、製造・調理の過程でグルテンが混入する可能性もあります。

セリアック病などで厳格なグルテン除去が必要な場合には、原材料表示や製造工程なども含めて確認する必要があります。

食物繊維などの栄養素が不足する場合がある

グルテンフリー食では、小麦などの穀物を避けることで、それらに含まれる食物繊維やビタミン、ミネラルなどの摂取量が減る場合があります。

特に、全粒粉などを使った食品を減らし、精製された米粉などの食品に置き換える場合は、食物繊維の摂取量に注意が必要です。

なお、グルテンフリー食で必ず栄養が不足するわけではありません。野菜、豆類、海藻類、グルテンを含まない穀物など、さまざまな食品を組み合わせることで栄養バランスを整えることは可能です。

グルテンフリー食品は費用が高くなる場合がある

グルテンフリー専用のパンやパスタなどは、一般的な小麦製品と比べて価格が高い場合があります。これは、代替原料を使用することに加え、グルテンの混入を防ぐための製造管理などが必要になることも一因です。

一方、米や野菜、肉、魚など、もともとグルテンを含まない食品も多くあります。グルテンフリー食が必要な場合でも、専用の加工食品だけを利用する必要はありません。

自己判断でグルテンを除去すると、検査に影響する場合がある

慢性的な下痢や腹痛などがある場合、セリアック病などが関係している可能性もあります。

注意したいのは、セリアック病の診断に必要な検査を受ける前にグルテンを除去すると、血液検査や小腸の組織検査で異常を確認しにくくなる場合があることです。

そのため、グルテンとの関連が疑われる症状がある場合は、自己判断で食事を大きく変更する前に、医療機関で相談することが重要です。

肥満症の改善に大切なこと

肥満症の改善を考えるうえでは、グルテンを含むかどうかだけではなく、食事全体の内容や、現在の健康状態に目を向けることが重要です。

食事全体のエネルギー量と栄養バランスを考える

体重の増減には、食事から取るエネルギー量と、身体活動などによって消費するエネルギー量のバランスが関係しています。そのため、減量を考える際には、グルテンなどの特定の成分だけに着目するのではなく、食事全体の量や内容を確認することが重要です。

また、摂取エネルギー量を減らす場合でも、タンパク質、ビタミン、ミネラル、食物繊維など、体に必要な栄養素を確保することが欠かせません。

肥満症は状態に応じた治療が必要

日本では、BMI25以上が「肥満」と判定されます。そのうち、肥満に関連する健康障害がある場合や、内臓脂肪の蓄積によって健康障害を起こしやすい状態にある場合は、「肥満症」と診断されます。

肥満症は、医学的な減量治療が必要となる病気です。治療では、食事療法、運動療法、行動療法を基本とし、状態に応じて薬物療法などが検討される場合もあります。

肥満症の改善を目指す場合には、特定の食品や成分を避けることだけにとらわれず、健康状態に合わせた治療を考えることが重要です。

まとめ

グルテンフリー食は、セリアック病などの治療に用いられる食事法です。現在のところ、グルテンに関連する疾患がない人において、グルテンを避けること自体に減量効果があるという十分な科学的根拠はありません。

グルテンフリー食に切り替えたことで体重が減る場合もありますが、食事内容の変化によって摂取エネルギー量が減少したことなどが影響している可能性があります。

肥満症の改善を考える際には、グルテンの有無だけでなく、食事全体のエネルギー量や栄養バランス、健康状態などを踏まえて、適切な方法を考えることが大切です。

参考資料

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監修

さい内科・消化器内科クリニック

崔 静姫 先生

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