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「まだ子どもだから大丈夫」は大きな誤解~小児肥満の多くが成人肥満に。小児期から正しく治療しよう~

はじめに

小児肥満は「まだ子どもだから」と見逃されてしまいがちです。しかし小児の肥満は多くが成人肥満に移行します。さらに肥満に伴い高血圧・糖代謝異常・脂質異常があれば、すでに小児期から動脈硬化は進行しており、水面下でじわじわと将来の心筋梗塞や脳卒中のリスクを高めているのです。また小児期に肥満であることは膝・腰に負担がかかることや、肌荒れやアレルギーにも悪影響を及ぼすと考えられています。その結果集中力の低下や睡眠不足を引き起こします。

このように小児肥満は決して「まだ子どもだから大丈夫」や「成長期だから」と安易に考えてよいものではありません。「目が悪い」「花粉症がありそう」「アレルギーかも」と考えて病院を受診するように「肥満かも・・」と疑ったら、病院を受診しましょう。生活習慣が定着してしまう前に、早めに介入することが重要です。

子どもの状態をまず知ろう。~肥満度20%を超えたら病院へ行く目安~

自分の子どもが太っているのかどうかまず知ることから始めましょう。一般的なBMIでは子どもの肥満は判定できません。なぜなら身長が高ければ、体重が重くてもBMI値は小さくなってしまうからです。

子どもは肥満度で判定することが有用です。ただし肥満度は年齢別、性別、身長別標準体重から算出するため、標準体重がわからないとなかなか自分で知ることができません。そこで肥満度が簡単にわかる成長曲線(横軸に身長、縦軸に体重をとったグラフ)がありますので、お子さんの身長・体重を入れてみましょう。

学童では肥満度20%以上を軽度肥満、30%以上を中等度肥満、50%以上を高度肥満と考えます。肥満度が20%以上を超えていましたら、医療機関を受診するようおすすめします。血液検査、血圧、血糖値および腹囲などを確認しましょう。

なぜ子どもは肥満になるのか。~便利な時代が逆に肥満のもと~

摂取カロリーが消費カロリーを上回っていることが原因です。

ジュースやお菓子、インスタント食品などを過剰に取ってはいないでしょうか。最近の小学生の中には麦茶や水が飲めない子がいます。のどが乾いた時にも日常的に清涼飲料水を飲む習慣は糖尿病や肥満の引き金になりかねません。

またコンビニエンスストアの普及も要因の一つです。塾前や部活後に少し歩けば揚げ物やお菓子がすぐに手に入るコンビニエンスストアがあれば、それは買いたくなるのもうなずけます。しかし簡単に摂取したカロリー分を簡単に運動で消費できていないため、肥満となるのです。

ゲーム、タブレット、スマートフォンなどの普及により外遊びの時間が減り、室内で過ごす時間が増えていること、再開発などの影響で子どもたちが自由に遊べる広場が減っていることなどが運動不足の要因と考えられます。電子機器を長時間使用することで視力の低下も増えています。日光を浴びることは視力低下の予防にもつながるそうですので、ぜひ太陽のもと、体を動かしてください。

子どもの肥満改善のためにできること~ジムに通わなくても生活習慣を見直そう~

まずは子どもの食習慣を見直してみましょう。食生活にはバランスが大切です。小児の肥満の特徴として、単品献立が多い、塩分量が高いという傾向にあり、魚類、野菜類、豆類、果実類が不足しがちです。

また、「ながら食べ」をしていませんか?遅い夕食、早食い、孤食など食事内容だけでなく、食事をする姿勢から見直してみましょう。

さらに睡眠不足は実は肥満と大きく関係します。慢性的な睡眠不足は食欲を抑えるホルモンの分泌が減少し、逆に食欲を増大させるホルモンの分泌を亢進させることが証明されています。早寝、早起きをし、しっかり睡眠をとることで肥満の改善につながるのです。

最後にゲーム、タブレット、スマートフォンなどの電子機器使用によるスクリーンタイムは睡眠を妨げ、視力の低下を招き、運動不足につながるとまさに百害あって一利なしです。しかしこれからの時代、そのような電子機器との関係は避けては通れません。子どもたちに、上手に付き合う術を教えていくことが大人たちの役目となるでしょう。

保護者へのメッセージ

共働き夫婦も増え、子どもたちの食生活になかなか目を配ることも難しいかと思います。ただ、子どもの肥満は食生活だけの問題ではありません。まずは子どもの生活習慣を見直してみましょう。そして改善できるところから始めてみましょう。過度な食事制限や運動の奨励ではなく、まず基本的な約束から進めてみるのはいかかでしょうか。

  • ○○時には寝る
  • 〇時には起きて毎朝ラジオ体操
  • 自部屋には電子機器を持ち込まない
  • 電子機器の使用時間は〇分まで
  • 電子機器の使用は就寝1時間前まで
  • 休日は早朝散歩
  • なるべく家族と食卓で食べる
  • ながら食べをしない

など・・ご家庭で無理なく達成できる約束を決めてみてください。肥満解消だけでなく、思わぬ効果が現れるはずです。

プロフィール

番町麹町こどもクリニック 院長

尾関 恵里奈 先生

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