- 健診結果の「要再検査」「要精密検査・治療」とは
- 健康診断後の再検査・受診について
- 体重管理のために見直したい生活習慣
健康診断や人間ドックの結果表で、「肥満」や「要再検査」などの判定を見て、どう対応すればよいか戸惑う方もいらっしゃるでしょう。肥満に関連する高血圧や糖尿病などは、自覚症状がないこともあります。本記事では、健診で肥満を指摘された方に向けて、肥満の判定基準や関連する健康リスク、健診後の受診の考え方について解説します。
健康診断で「肥満」に引っかかる基準とは
健診では、身長・体重から算出するBMIのほか、特定健診では腹囲なども確認されます。
BMI25以上で「肥満」と判定
体格を評価する代表的な指標が、BMI(体格指数)です。日本肥満学会の基準では、BMI25.0以上を「肥満」と分類しています。標準体重はBMI22.0を基準として算出されます。
健診ではBMIだけでなく腹囲も確認
特定健康診査(特定健診)などでは、おへその高さで測定する腹囲のチェックも重視されます。40~74歳を対象とする特定健診では、内臓脂肪蓄積の目安として男性85cm以上、女性90cm以上という腹囲基準が用いられています。体重の増加が少なくても腹囲が基準値を超える場合は、内臓脂肪が蓄積している可能性があります。
健診結果の「要再検査」「要精密検査・治療」とは
健診結果の判定区分や名称、再検査・受診の目安は、健診機関や検査項目によって異なります。ここでは一般的な考え方を紹介します。
「要再検査・生活改善」とされた場合
「要再検査」や「要生活改善」とされた場合は、すぐに精密検査や治療が必要とは限りませんが、一定期間後に再検査を受け、数値の変化を確認することが大切です。生活習慣が関係している項目では、保健指導などを活用して食事や身体活動を見直すこともあります。再検査の時期は、健診結果に記載された指示に従いましょう。
「要精密検査・治療」とされた場合
「要精密検査」や「要治療」とされた場合は、医療機関で詳しい検査や診察を受け、病気の有無や治療の必要性を確認することが大切です。検査内容は異常を指摘された項目によって異なります。自覚症状がなくても、健診結果の案内に沿って受診しましょう。
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肥満が続くことで高まりやすい健康リスク
脂肪の蓄積が長く続くと、体の中で代謝の仕組みに影響が生じることがあります。初期は自覚症状が現れにくいため、気づかないうちにリスクが高まる点に留意が必要です。

高血圧・糖尿病など生活習慣病のリスク
内臓脂肪が過剰に蓄積すると、血糖値を下げるインスリンの働きが低下しやすくなります。これにより高血糖の状態が続き、2型糖尿病を発症するリスクが高まります。また、肥満は高血圧とも関連しています。脂質異常症も合併しやすくなります。
動脈硬化による脳梗塞・心筋梗塞のリスク
高血圧や高血糖などの状態が継続すると、血管の壁が厚く硬くなる動脈硬化が進行しやすくなります。動脈硬化が進むと血管が狭くなったり、血管内に血栓ができて詰まったりすることで、脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高まります。
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「肥満」と「肥満症」は違う、健康障害などを伴う場合は肥満症の可能性
「肥満」と「肥満症」は医学的に区別されています。「肥満」とは、脂肪組織に脂肪が過剰に蓄積した状態で、日本ではBMI25以上の場合に肥満と分類されます。一方、「肥満症」は、BMI25以上の肥満があり、肥満に関連する健康障害を合併している、または健康障害を起こしやすい内臓脂肪の蓄積があるため、医学的に減量が必要とされる疾患です。肥満症の診断に必要な健康障害は以下のとおりです。
(引用:厚生労働省「肥満と肥満症」
- 耐糖能障害(2型糖尿病・耐糖能異常など)
- 脂質異常症
- 高血圧
- 高尿酸血症・痛風
- 冠動脈疾患
- 脳梗塞・一過性脳虚血発作
- 非アルコール性脂肪性肝疾患
- 月経異常・女性不妊
- 閉塞性睡眠時無呼吸症候群・肥満低換気症候群
- 運動器疾患(変形性膝関節症・変形性股関節症・変形性脊椎症など)
- 肥満関連腎臓病
BMI25以上の方で、健診で血圧・血糖・脂質などの異常を指摘された場合は、肥満症に該当する可能性があります。受診を勧められた場合は、自覚症状がなくても健診結果の案内に沿って医療機関を受診しましょう。
肥満症について詳しくは「肥満症とは?「太っている」と「病気」の境界線と治療の必要性」
健康診断後の再検査・受診について
健診で要精密検査などの判定を受け取った場合、具体的にどこを受診すればよいか悩むことがあります。医療機関を受診することで、自分の状態を医学的に把握できます。
健診結果の案内に沿って内科などを受診
結果報告書には、受診が推奨される診療科名が記載されていることが一般的です。受診時は健診結果を持参しましょう。もし可能であれば過去の健診結果も準備すると、経年変化を確認する参考になります。スケジュールを調整し、早めに受診の予約をとりましょう。
受診時に確認されること・必要に応じて行われる検査
医療機関では医師による問診が行われ、生活習慣や体重変化の経過などが確認されます。その上で、必要に応じて身体測定や血圧測定、血液検査、尿検査などが行われます。また、必要に応じて、腹部CTで内臓脂肪面積を評価したり、腹部超音波検査で脂肪肝などの合併症を確認したりすることがあります。
体重管理のために見直したい生活習慣
健康的な体重を維持するためには、毎日の生活習慣を基礎から見直すことが大切です。急激な食事制限などは長続きしにくいため、継続可能な方法を取り入れましょう。

食事量と栄養バランスを見直す
体重管理では、日常のエネルギー摂取量と消費エネルギーのバランスを整えることが基本となります。食事を改善する際は、主食・主菜・副菜を組み合わせたバランスの良い献立を心がけましょう。食べるスピードが速いと満腹感を感じる前に食べ過ぎてしまうため、一口ごとにしっかり噛んでゆっくり食べる習慣をつけることが大切です。
無理のない範囲で身体活動・運動を増やす
日常的に体を動かすことは、体重管理や筋力の維持につながります。まずは、歩く時間を増やす、階段を使うなど、今より少しでも多く体を動かすことから始めましょう。持病や膝・腰の痛みがある場合は、必要に応じて医師に相談し、無理のない範囲で取り組むことが大切です。
体重・腹囲を定期的に測定する
体型の変化や生活習慣改善の成果を客観的に把握するため、定期的な体重および腹囲の測定を行うことが有用です。体重はできる範囲で定期的に、腹囲も同じ条件で継続的に測定すると変化を把握しやすくなります。測定した記録はメモなどに残しておくことで、過去の傾向との比較がしやすくなります。中長期的な変化の傾向を観察しましょう。
まとめ
健康診断で「肥満」を指摘された場合、肥満だけで直ちに治療が必要というわけではありません。一方、BMI25以上に加えて、血圧・血糖・脂質などの異常や肥満に関連する健康障害がある場合は、肥満症に該当する可能性があります。「要精密検査」「要受診」などの判定がある場合は、結果表の案内に従って医療機関を受診しましょう。また、生活改善を勧められた場合は、無理のない範囲で食事や身体活動を見直し、必要に応じて保健指導などを活用することも大切です。
参考資料
- 厚生労働省「肥満と健康」「肥満と肥満症」「メタボリックシンドロームの診断基準」「特定健診・特定保健指導について」
- 一般社団法人 日本肥満学会「肥満症診療ガイドライン2022」
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監修
奥田 英伸 先生